犯罪事件史

ソニー・ビーン 【近親相姦を繰り返し1500人の肉を喰らった人喰い家族】

伝説の食人鬼

ソニー・ビーン

ソニー・ビーン (※奥の両足を持つ女性は家族の者)画像:wiki c

かつてスコットランドの地には旅人を襲い、その肉を喰らう食人鬼がいると言われていました。

それが今回紹介するソニー・ビーンです。

この人物は今もスコットランドに伝わる伝説の食人鬼なのですが、実在したとされる文献等もないため、当時のスコットランドの不安定な情勢とイングランドによる反スコットランド思想が交わって誕生した「おとぎ話」の人物とされています。

しかし、一説にはあまりにも残虐な事件であったため、スコットランド王朝はソニー・ビーンに関する記録を全て抹消したとも言われています。

恐怖の人喰い一家を率いたソニー・ビーンについてご紹介します。

生い立ち

ソニー・ビーンは本名を「アレクサンダー・ソニー・ビーン」と言い、スコットランドのイースト・ロージアンで誕生しました。

生年については14世紀半ばから、16世紀初頭に生まれたなど諸説があり、はっきりとは分かっていません。

ソニー・ビーンの父親は農業や庭造りに従事する日雇い労働者で、息子であるソニー・ビーンも父親の手伝いをしていました。

しかし、もともと怠惰で粗暴な性格のソニー・ビーンは労働を嫌っていたため、実家を去ります。

行く当てもなくフラフラと旅をするソニー・ビーンでしたが、道中でドゥグラスという女性と恋仲になり、共に旅をすることになります。

洞窟生活

ソニー・ビーン

バナーン・ヘッドの洞窟入口 画像:wiki c

スコットランド南西部のガロウェイ地方に到着した二人はバナーン・ヘッドの海岸に住みやすそうな洞窟を見つけると、ここに住み始めます。

洞窟に住み始めたソニー・ビーンとドゥグラスでしたが、二人とも労働を嫌ったため、共謀して海岸の近くを通り掛かる旅人を襲って金品を奪うことを思いつきます。

こうして二人は旅人を襲って生計を立てるのですが、二人は自分達の存在や犯行が露見しないよう、必ず旅人を殺して死体を洞窟に持ち帰っていました。

しかし、強盗稼業だけでは十分にやっていけるはずもなく、飢えに追い詰められた二人は次第に殺害した旅人の肉を調理し、食べるようになっていきます。

また、旅人の行方不明が噂になると、ソニー・ビーンは旅人の死体の一部を獣に襲われたように細工したため、犯行は露見しませんでした。

さらに、二人が住む洞窟の入り口は、海の満潮によって海面下に隠れてしまったので二人が発見されることはなかったのです。

近親相姦家族

人肉を喰らったからか、もともとなのか分かりませんが、ソニー・ビーンとドゥグラスは異常な性欲の持ち主でした。

気づけばソニー・ビーンとドゥグラスは男8人、女6人の子供たちを設けるのですが、まともな教育を受けていなかったので、野獣のような子供たちばかりでした。

また、その子供たちは成長すると互いに近親相姦を繰り返したため、さらに男18人、女14人を設けたので、ソニー・ビーン一家は48人とも50人とも伝わるほどの大家族となります。

ソニー・ビーン

死体を解体するソニー・ビーン一家 画像:wiki c

ソニー・ビーンの子供たちと孫たちは、言葉もまともに話せないような者ばかりでしたが、幼少からソニー・ビーンの強盗を手伝い、人を殺して食っていたため、恐ろしい殺人集団と化していました。

よって、腹を空かせたソニー・ビーンの一家に狙われた旅人は集団戦法であっという間に殺されて、食料とされてしまうのがオチだったと言います。

ガロウェイの悪魔

大所帯になったソニー・ビーン一家の犯行は次第に激しさを増していき、ガロウェイ地方の海岸で失踪事件が勃発していることがスコットランド中に噂となります。

さすがに放置できなくなったスコットランドの治安当局が捜査に乗り出しますが、ソニー・ビーン一家の見事な連携プレイにより、証拠は見当たりません。

やけになった治安当局は、かたっぱしからガロウェイ方面にいた旅人、宿屋の経営者、素行不良者、犯罪歴のある者などを逮捕し処刑しますが、事件は一行に解決しません。

次第に民衆の間では「ガロウェイの悪魔の仕業」や「超常現象」といった噂が飛び交います。

スコットランド中が恐怖に怯える中でも、ソニー・ビーン一家は殺人を休めることは無く、被害は増々拡大し、彼らに殺され食べられた人数は1500人近くとなります。

殺人一家の最後

ある日、いつも通りソニー・ビーンは家族を率いて旅人を待ち伏せしていると、一頭の馬に乗った夫婦が近くを通りかかりました。

しめたとばかり夫婦に襲い掛かり、旅人の妻を殺害したソニー・ビーン一家でしたが、夫の乗る馬が思いのほか早く逃げたため、これを取り逃がしてしまいます。

命からがらグラスゴーの役場に辿り着いた夫は事件を報告。

これを聞いたスコットランド王ジェームズ1世は、自ら400人の兵を率いて事件現場に向かったのです。

バナーン・ヘッド洞窟内部 画像:wiki c

ソニー・ビーン一家の住む洞窟の発見は難航するも、猟犬が居場所を嗅ぎつけたため、遂にソニー・ビーン一家は国王らに捕らえられてしまいます。

洞窟内からは、盗品に混じって凄まじい数の人肉や人骨が発見されたため、ビーン一家全員は即刻死刑となり、男子は両腕両脚を斧で切断されて失血死するまで放置され、女子はその様子を見せられた後に火炙りにされ処刑されました。

ソニービーン自身は最後まで反抗的な態度を貫いたと言われています。

しかし、一説によればソニー・ビーン一家の内2人が行方を暗まし、生き残ったとの話もあります。

食人鬼一家の末裔は今もどこかに隠れているのかも知れません…。

 

アバター

figaro

投稿者の記事一覧

日本史、西洋史、中国史、雑学なんでも大好きなライターです。みなさんがちょっとでも楽しめる記事が書けるよう頑張りま~す!お仕事等のご依頼はこちらまで。figaro.eruditionarts@gmail.com

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. アバター
    • 名無しさん
    • 2023年 12月 19日 11:52am

    美味しそう

    1
    2
  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 古代ローマ人の娯楽 コロッセオで行われていた残虐な催し
  2. 【愛する女性の遺体と7年暮らしたレントゲン技師】 カール・テンツ…
  3. 「富士の樹海」はなぜ自殺スポットとなってしまったのか?
  4. 鬼の助産婦・石川ミユキ 「赤子を100人近く殺害した寿産院事件と…
  5. 【アメリカの美少女虐待事件】 ガートルード・バニシェフスキー事件…
  6. 【世界で最も奇妙な食事をした男】ミシェル・ロティート ~ガラスや…
  7. 神聖ローマ帝国は、帝国とは言いづらい異色の国家だった
  8. 名将 プリンツ・オイゲンの生涯とは?【敵国オーストリアで英雄にな…

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

【イスラエルがイランを攻撃】 イスラエルの強硬路線と国際社会への不信感

イスラエル、イランへミサイル攻撃米ABCテレビによると、現地時間19日早朝、イスラエルがイラ…

キスカ島の奇跡について調べてみた

1942年6月、大日本帝国海軍はアラスカ半島に近いアリューシャン列島のアッツ島とキスカ島を攻略し、こ…

アメリカバッファロー激減の歴史 【なぜ6千万頭から500頭まで減ったのか?】

乱獲の悲劇かつて北アメリカ大陸の大地には約6000万頭ものバッファローが群れを成し、大陸を縦横無…

【関ヶ原の戦い】 名将・大谷吉継の首はどこにいったのか? 「唯一自害した大名」

1600年の「関ヶ原の戦い」は、天下分け目の戦いとして知られている。一般的には徳川家…

角田秀松のエピソード 「大義のため私怨を乗り越え、明治日本に力を尽くした会津藩士」

時は幕末、最後まで徳川幕府へ忠義を尽くし、薩摩藩・長州藩によって滅ぼされてしまった会津藩の悲劇は今日…

アーカイブ

PAGE TOP