古代文明

日本にも存在した古代文明 「ピラミッド、海底遺跡、奇石群」

日本は四大文明と呼ばれる、海外の古代文明に比べるとその歴史は浅い。

しかし、四大文明の発生した時期には、それ以外の地域でも文明が興っていることが近年の研究によって分かっている。

そして、日本でも有史以前に「古代文明が存在した可能性」が囁かれるようになった。

日本にも高度な古代文明があったとしたら、どこかにその痕跡があるはずだ。

ピラミッド(葦嶽山、黒又山)

日本の「古代文明説」の根拠となるものはいくつかあるが、根強く噂されているのが「ピラミッド」である。

といっても、エジプトや、マヤ文明のように石が露出した状態ではなく、自然の山と同化しているために分からないだけだ。

例えば、広島市庄原市内にある標高815mの「葦嶽山(あしたけやま)」は、地元では古くから神武天皇の皇陵であると伝えられてきた。

中腹から山頂にかけて人工的な石積みの跡が見られるほか、山頂付近には何らかの祭祀に用いられたと思しき巨石群もある。

また、北側に鎮座する鬼叫山(きぎょうざん)が拝殿山とされ、その山頂にも大きな石を組み合わせた供物台らしきものも確認されている。

日本におけるピラミッド研究者のなかには葦嶽山の建造を23,000年前と推定し、これこそが世界最古のピラミッドであると主張するものもいるが、その佇まいを見ると確かに整い過ぎているようにも思える。

日本にも存在した古代文明
【※葦嶽山】

また、秋田県の黒又山は地元で「クロマンタ」と呼ばれており、標高280m程度の低い山ながら「日本で最も美しいピラミッド」ともいわれている。

日本にも存在した古代文明
※黒又山

過去に実施されたレーダー探査では、山頂に建てられた薬師堂の真下に一辺10mほどの空洞の存在が確認されたほか、山の斜面に7~10段の階段状の地形が埋まっていることも判明している。

なお、クロマンタとは「神々のオアシス」を意味するアイヌ語に由来するとの説が有力だ。

トンカラリン

熊本県北部、江田船古墳群のすぐ近くで、ひしゃくのような入り組んだ形で地上を這う謎の隋道トンネルが発見されたのは昭和49年のことである。

山の中に奇妙な穴がある

地域住民のそんな報告から専門家の手が入ったのを皮切りに、今日まで多くの識者が謎の解明に取り組んできた。謎とは、この全長464.6mにもおよぶ遺構が、誰の手で何を目的に建造されたものなのか、ということだ。

めぼしい記録や伝承もなく、古代人による祭祀施設であるとの説や、用水路や排水路などとして使われたものとする説が登場し、活発な議論が展開された。

かの松本清張も調査に訪れ、「卑弥呼の手による鬼道(きどう)である」と自説を語ったのは有名なエピソードである。

日本にも存在した古代文明
【※トンカラリンの内部。自然の隙間に石で蓋がしてある】

穴に石を投げ込んだ際に「トンカラリン」と聞こえることから、そのように呼ばれるようになったこのトンネルは、自然の地形を生かしつつ、部分的に石組みによる蓋をしたもので、ピラミッド内の通路のように回廊や階段などが作られている。

実際、エジプト考古学の権威である吉村作治氏は、この大回廊と古代エジプトのピラミッドの工法に共通点があると指摘しており、一説では、モーゼに連れられてエジプトを脱出したユダヤ人の末裔が建造したともいわれている。

与那国海底遺跡

日本最西端の島、与那国島。

その南方の海底で人工物と思われる遺構らしきものが発見されたのは、1986年のことであった。

あるダイバーが、外周数百メートルにも及ぶ巨大な一枚岩を発見したのが切っ掛けで、そこには人工的に切り出したような痕跡のほか、大きな階段や通路のように見える隙間が確認されたことで、いよいよ古代遺跡ではないかとの説が高まり始めた。

日本にも存在した古代文明
【※与那国海底遺跡の一部】

東西250m、南北150m、さらに高さが26mというサイズは、高さを除けば古代エジプトのピラミッドに匹敵する。

確かに画像で見る限りは人工物であると考えたほうが自然だが、遺物が出土していないこと、地形の大部分が自然の形成物として説明できることなどから、今のところは遺跡として認定されていない。

ちなみにこの周辺の漁師の間では、古くから海底の不思議な地形に関する伝承があったという。仮に自然物であったとしても、これほどの地形なら保護する価値はありそうだ。

明日香村奇石群

遺跡の宝庫として知られる奈良県明日香村

昭和の初頭に石舞台古墳が発掘されたのを機に、本格的な調査がスタートし、日本最古の寺院である「飛鳥寺」や壁画が残る「キトラ古墳」などが次々に出土するようになった。

そして、今、明日香村に点在する「奇石」にも注目が集まっている。

竹林の中に鎮座する長さ5m、高さ1mほどの大きな石造物「酒船石」はその代表的な遺跡だ。

ミステリアスな溝が特徴で、酒を絞るための道具であったとも、薬を調合するのに使われたともいわれている。

【※酒船石】

また、石船山の頂上付近に設置された「益田岩船(ますだのいわふね)」は、長さ11m、幅8m、高さ4.7mという巨大なもので、さらに上部から大きな溝が2つ設けられている。

その工法から7世紀の建造と推察されているが、用途などは不明なままだ。

【※益田岩船】

他にも、猿石、亀石、鬼のまないたなど、明日香村では、独特でロマンをかきたてられる奇石群が見られる。

最後に

これだけで日本に古代文明が存在したと証明することは出来ないが、日本の気候を考えれば、長い年月をかけて自然のなかに埋もれてしまった遺構があることは十分に考えられる。

今は点でしかないが、今後、交易などの日本に点在する遺跡を結ぶ文明の線が発見されることで、古代日本の真の姿が見える可能性は大きい。

参考文献 : 謎の巨石文明と古代日本

 

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草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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