江戸時代

人違いで藩主を殺した刃傷事件 「板倉勝該事件」 ~前編

板倉勝該事件とは

イメージ画像「松之廊下刃傷事件」※赤穂事件

1603年、徳川家康が江戸に幕府を開き、江戸時代は250年以上も続く太平の世となったが、本来帯刀が許されていなかった江戸城内において刃傷事件がいくつか起こっている。

最も有名なのは「忠臣蔵」が生まれるきっかけとなった赤穂事件である。

今回は、江戸城内で起きた5番目の刃傷事件「板倉勝該(いたくらかつかね)事件」を前編と後編に分けて解説する。

被害者となった細川宗孝は、この時まだ子がおらず養子も立てていなかったので、戦国時代の細川藤孝(幽斎)から続く名門・細川家は存続の窮地に立たされることとなる。

江戸城内で起きた5番目の刃傷事件、家紋が似ていたため人違いで殺害した「板倉勝該事件」とはどのような事件だったのだろうか。

板倉勝該とは

板倉勝該(いたくらかつかね)は、旗本・板倉重浮の次男として生まれた。幼名は「安之助」であり、生年については不明である。

兄・板倉勝丘の養子となり、延享3年(1746年)の暮れに兄の遺領6,000石を相続し、延享4年(1747年)に第9代将軍・徳川家重に拝謁した。
勝該は日頃から狂病の傾向があり、家を治めていけるような状態ではなかったという。

そのため、板倉本家の当主である陸奥国泉藩2代藩主・板倉勝清は、勝該を致仕させて自分の庶子に跡目を継がせようとしていた。

致仕(ちし)とは官職を退いて引退することであり、それを耳にした勝該は怒り、本家の勝清を襲撃しようと思っていたのである。

細川宗孝とは

「板倉勝該事件」

画像 : 肥後熊本藩5代藩主・細川宗孝の肖像画

細川宗孝(ほそかわむねたか)は、正徳6年(1716年)肥後国熊本藩第4代藩主・細川宣紀の四男として生まれた。
四男であったため初めは長岡姓であったが、兄たちが早世したために嫡男となり細川姓に改姓した。

享保17年(1732年)父の死去により16歳で家督を相続し、8代将軍・徳川吉宗より偏諱を受け「宗孝」と改名した。
正室は紀州藩第6代藩主・徳川宗直の娘・友姫である。

父の代から熊本藩は洪水・飢饉・早魃などの天災に見舞われ、宗孝が藩主になった翌年には参勤交代に使用する大船・波奈之丸の建造費、また洪水・飢饉・疫病などの天災が起こった。

熊本藩の出費は多大なものとなり借財は40万両あり、その治世は困難を極めていた。

刃傷事件

延享4年(1747年)8月15日、月例拝賀式のため大諸大名が江戸城に登城した。

熊本藩5代藩主・細川宗孝も登城していた。

そして大広間脇の厠に立った時に、旗本寄合・板倉勝該に突然背後から脇差しで斬りつけられ、まもなく絶命してしまったのである。

勝該は日頃から狂気の振る舞いがあった。

この時は前述したように本家の当主・板倉勝清を襲撃しようとしたが、一撃で絶命した相手は板倉勝清ではなく、なんと熊本藩主の細川宗孝だったのである。

どうしてこのような間違いが起こってしまったのだろうか?

後編では、人違いの理由と別の説についても解説する。

関連記事 : 人違いで藩主を殺した刃傷事件 「板倉勝該事件」 ~後編

 

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