子供の頃、トランプを使ってよく遊んでいたものである。
このトランプの絵柄には意味や名前があり、実在の人物がモデルになっていることはご存じだろうか?
今回は誰もが一度は目にしたことのある、トランプの絵柄について調べてみた。
トランプの歴史
起源は諸説あり、古くは古代エジプトに由来するとする説などが存在していたが、現在は中国説が最も有力であり、また、東方(アジア)で発生したものが欧州に移入されたとする点では、諸説は一致している。
これら東方に発生したものが、西アジア方面から復員した十字軍やサラセン人などの手によって欧州に伝えられた可能性が高いとされている。
『アラブのトランプ』
トプカプ博物館所蔵の15世紀ごろのマムルーク朝のカードは、イスラム教の教えの偶像崇拝に抵触しないように、絵札には人物は書かれておらず、かわりに文字で説明がされている。
このためスート名と絵札の名前が判明している。
完全な形で残っているわけではないが
・ダラーヒム(=貨幣)
・トゥーマーン(=カップ)
・スユーフ(=刀剣)
・ジャウカーン(=ポロ競技用のスティック)
の4つのスートがあり、各スートには1から10までの数札と
・マリク(=王)
・ナーイブ(=総督)
・ナーイブ・サーニー(=第二総督)
の3種類の絵札があったと考えられている。
カップのスート名「トゥーマーン」はトルコ語で「万」を意味する語であり、中国の紙牌のスートである「萬子」との関連性が考えられる。
イギリスの中国学者・ウィリアム・ヘンリー・ウィルキンソンは、漢字の「万」を上下逆さまにした形がカップになったと推測している。
起源がよくわかっていない事が多いが、少なくとも14世紀にはヨーロッパにもたらされていたようである。
欧州に最初にトランプが出現したのは14世紀前半のイタリアとされているが、スペイン説も有力である。
カードの構成は当時のアラブのカードのデザインを襲用している。
ただし、スートのうち「ポロ用スティック」は、欧州においてはポロ競技に馴染みがなかったことから、イタリアでは儀式用の杖、スペインでは棍棒に変化した。
初期のころはアラブのトランプの影響が強く残っていた。
15世紀も後半になると、フランスではスートが
・ダイヤ(♢)
・スペード(♤)
・ハート(♡)
・クラブ(♧)
に変わり、絵札の騎士が女王と差し替えられた。
このフランススタイルがイギリスに渡り、キング、クイーン、ジャックの絵札になり現在のスタイルになった。
トランプのスート
「スペード」(剣) 貴族や軍人を表す
「ハート」(聖杯) 聖職者や僧侶を表す
「ダイヤ」(貨幣) 商人を表す
「クラブ」(棍棒) 農民や労働者を表す
キング・クイーン・ジャックにはモデルがいる
・キング
『スペード』ダビデ王『旧約聖書』の「列王記」に登場するソロモン王の父・古代イスラエル国王
『ハート』カール大帝(シャルルマーニュ)中世のフランク国王
『ダイヤ』カエサル(ジュリアス・シーザー)古代ローマの政治家、軍人。
『クラブ』アレキサンダー大王(アレキサンドロス3世)ギリシア時代のマケドニア国王。
・クイーン
『スペード』パラス(パラス アテネ)ギリシア神話のトリトンの娘。もしくは友人こちらはギリシア神話の戦いの女神
『ハート』ユディト(ジューディス)『旧約聖書』外典の一つ「ユディト記」に登場するユダヤの女戦士。
『ダイヤ』ラケル 旧約聖書のヤコブの妻。
『クラブ』アルジーヌ(アージン)ラテン語の女王を意味する単語・レーギーナのアナグラム(Regina→Argine)
・ジャック
『スペード』オジェ・ル・ダノワ(ホルガー・ダンスク) カール大帝の騎士。英語読みでは「オジーア・ザ・ダン」。
『ハート』ラ・イル ジャンヌ・ダルクの戦友。英語読みなら「ラハイア」。
『ダイヤ』エクトール(ヘクトル)ギリシア神話に登場するトロイの王子。 トロイア戦争の英雄
『クラブ』ランスロット『中世騎士物語』に登場するアーサー王に仕えた円卓の騎士の一人。
スペードのエースだけが派手なのはなぜ
スペードのエースのみ凝ったデザインが多いのはなぜか?
昔からトランプは賭け事に使われていた歴史があり、国や教会が禁止にしていたことが多かった。国は禁止したり規制したりするうえでトランプに税金をかけることにした。
デザインの起源は17世紀のイングランドで、かつてトランプは1セットごとに課税されており、出荷する際に一番前に来るのがスペードのエースであった。
ここに偽造防止の目的で複雑な模様の納税証明印が押された。これがデザインとしてカードの側に転移したものである。
ジョーカー
トランプの「ジョーカー」は、元々タロットカードの「愚者」が由来になっているのではないかといわれている。
他国のトランプにはこのジョーカーを使用しないルールで遊ぶのが一般的であり、ジョーカーを使って遊ぶのは日本独自のルールであるようだ。
トランプのまとめ
・現在私たちがよく使うトランプの起源は中国説が有力である。
・ヨーロッパには14世紀には伝わっている
・現在に形になったのはイギリス、フランスのモデルである。
・フランス型はキング、クイーン、ジャックに実在の人物や、伝説上の人物がモデルとなっている。
・スートはそれぞれイタリアの社会階級の意味がある。
・スペードのエースのデザインが凝っているのは、国の課税対象であったことによる偽造防止の刻印が影響している
・ジョーカーはタロットの「愚者が」モデルとなっている。
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