IoT

深センが面白いと世界から注目【中国のシリコンバレー】

お隣の国、中国で今テクノロジーの分野でアツい!と言われている都市があるのをご存知でしょうか?

それは「深セン(深圳)」(シンセン)です。
今回は若者が集まり、中国の次世代を担う都市「深セン」について調べてみました。

深セン の場所と特徴

広い広い中国…深センと言われてもどこにある都市なのかイメージが湧かない方も多いはずです。
早速調べてみましょう。気になる深センの場所はこちら!

深セン

※引用: Google Map

さらに拡大すると、ココ!

深セン

※引用: Google Map

日本からの旅行先でもおなじみの香港と陸続きで接していることが分かります。ここは、中国本土の4大都市として北京、上海、広州に並び大きな都市とされています。

深センは移民都市であることが特徴です。改革開放経済の影響を受けて、政府が積極的に振興事業発展の鉄道や建物、道路などのインフラを整えたことで、本場米国のシリコンバレー企業が多く参入し、今や「中国のシリコンバレー」と呼ばれるまでになりました。2016年には深センの市内総生産(GDP)は2兆78.6億人民元となり広州市を追い抜きました。

ここは1980年に経済特区に指定されてから急激に成長し、多くの若者が流入してきた場所でもあります。CCTVによれば2018年の人口の平均年齢は32.1歳とのこと。少子高齢化で悩む日本では聞いたことのない数字ですね。

猛スピードで変わる深セン 世界で注目される理由

そんな深センで最も活躍している企業はIT関連と言われています。最近ではドローン開発のDJIといったベンチャー企業も数多く拠点を置いています。

ハードウェアに関しては、深センにはガジェット専門マーケットが複数あり、そこに足を運べば数時間でスマートフォンを組み立てられる部品が全て揃う、とまで言われています。
一方、ソフトウェア企業にとっても深センは重要な意味を持っています。中国人の多くが使っているメッセージアプリWeChatで知られるTencentといった大手企業はもちろん、未来をリーダー候補のAI・IoTベンチャーが多く集まっているためです。

深セン

※引用:VCG

このように勢いのあるテクノロジー企業が集まることで、中国全土からより優秀で野心的な若者がこの都市に仕事を求めてやってきます。それを受けてさらに新たな企業も次々に進出するという好循環が起き、深センは急激なスピードで変化する産業都市になったというわけなのです。

2018年中国教育部(日本の文部科学省)によると中国の大学卒業生は820万人。対する日本では同年の民間企業就職希望者数は43. 2万人。その規模の差は歴然です。高給で革新的なIT企業は特に競争倍率も高く就職が厳しいと言われているなかで、中国全土からの数多くのライバルに勝ち、深センで職を得た若い人材がどれだけ大きなエネルギーを持っているかは想像にたやすいでしょう。

今や中国は、ヨーロッパ各国からも恐れられるほどテクノロジー分野で確実に力をつけている国であることに間違いありません。2018年欧州連合が発表したレポートによると、中国政府が発表した“Made in Chine 2025”がロボティクス、電動自動車、コンピューターチップ等を重点に掲げそれらのグローバルトップになるという目標を打ち出しました。それに対してヨーロッパ諸国が恐れを抱いているとのこと。

中国のテクノロジー企業が強くなると、世界的な貿易戦争に影響が出ます。そのため、このような国際貿易の観点からも特に勢いのある深センは世界各国から注目されているのです。

最先端テクノロジーを次々活用する“未来都市“?

深センでは生活を変えるテクノロジー活用が次々と始まっています。中国ではもはや当然のものとなった電子決済システムにはじまり、顔認証を使用したファストフード無人店舗など取り組みなども進んでいます。

People’s Daily Chineによると2018年深センの大手書籍店で、顔認証と書籍のQRコード読み取り技術を活用することで店舗における大規模なキャッシュレス決済を開始したとのこと。これはオンライン購入システムとも連携可能ということもあり話題になりました。

※引用:People’s Daily Chine

また、深センのIoT展示会で出店して注目を集めていた杭州の企業「Miotlink(杭州妙联物联网技术有限公司)」という会社は流量センサや温度センサ技術を駆使したスマートハウス実現のビジネスで注目されています。

玄関のスマートロック化、不審者が侵入した際のセンサーによる防犯機能、エアコンの温度調整機能、空気浄化機能、カーテンの開閉制御、除湿機能、給湯器の温度調整などあらゆるものをIoTを活用してインターネット接続することで全自動化することができるといいます。

スマートハウスのテクノロジーは今後の中国のエネルギー問題や、高齢化対策という観点からも需要が高まると考えられており、深センのような未来都市を中心に実験的に取り入れる施設や家庭も増えているそうです。

このように深センには優秀な企業があるばかりではなく、最新テクノロジーを生活の場に適用して、利用者の声を聞きながら迅速に改善・改良できる環境があります。まさに「深センの街全体がテクノロジーの実験室だ」という表現をする人もいるといいます。

今回の記事を読んでご関心を持たれた方は香港旅行を1日延ばして、深センまで足を運んでみてはいかがでしょう。
活気あふれるテクノロジーを感じながら大人の社会科見学ができるのではないでしょうか。

関連記事:
IoT【第4次産業革命】とはなにか?【モノのインターネット】
ARM(アーム)について調べてみた【ソフトバンク買収額3.3兆円の半導体メーカー】

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Audible で聴く
Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. なぜ第一次世界大戦は起きたのか? 「国民国家」という暴力装置
  2. アメリカ合衆国独立の歴史について調べてみた
  3. 韓国の若者の間で急増している動物保護活動 『イ・ヒョリ』の影響力…
  4. 【王冠を捨てた恋】エドワード8世について調べてみた
  5. 2050年までに32の米国の主要都市が「海面上昇」の深刻な危機
  6. アメリカで「梅毒」が急増中 【1950年代以来最高値に】
  7. ベトナム人に「グエンさん」が多いのはなぜか? 【国民の40%】
  8. シュタージ 「東ドイツ秘密警察の恐るべき監視社会」

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

「チェスト」の掛け声で知られる薩摩・示現流とは

「チェスト」の意味「チェスト」の掛け声で知られている剣術が、薩摩藩において「御留流」とし…

「意見をいう者は全員処刑」 商鞅の恐怖政治とは? 【漫画キングダムから中国史を学ぼう】

秦の礎を築いた商鞅漫画『キングダム』を原作にした実写版映画『キングダム 運命の光』の第3弾が、来…

名作になれなかった迷作 『エガオノダイカ』

知る人ぞ知る?タツノコプロ55周年記念作品株式会社タツノコプロといえば、数々のヒット作を生み出し…

【1000人抱いた?】浮気三昧の伊藤博文を陰で支えた良妻・伊藤梅子の生涯

初代内閣総理大臣・伊藤博文は、近代日本の黎明期を支えた政治家であるだけでなく、無類の女好きと…

『トランプ関税』日常生活への影響はどこまで? ~4人家族の負担は11万円増の可能性

最近よく耳にする「トランプ関税」が、日本人の日常生活にどのような影響を及ぼすのか、具体的に考えてみた…

アーカイブ

PAGE TOP