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祭りと神輿の歴史について調べてみた

祭りと神輿の歴史について調べてみた
※.三之宮神輿出し(三社祭)

祭囃子が聞こえ、「わっしょい」と威勢のいい掛け声とともに担がれる神輿(みこし)。その風景は見ている者まで元気にさせてくれる。

現代では祭り神輿は切っても切れない存在となっているが、その歴史については深く考えたことがない。今回は祭りと神輿について調べてみた。

神輿の起源

諸説あるが、そのうちの1つとして以下のような説がある。

狩猟と採集による移住を繰り返した時代に行われた収穫祭の祭壇が起源で、このときは祭りが終わると神輿は取り壊され、毎年新たな神輿を作って天上の神を招いていた。農耕が始まり人々が定住するようになると、神に対しても定住が求められるようになり、居所としての神社が誕生した。そして神の乗り物として神輿が継承され現在のような形になった。

文献上での初出は、奈良時代にまで遡るが、この時代は戦いのために神を戦場まで運ぶ乗り物として扱われていた。室町時代になると、農業生産が飛躍的に増え、庶民が団結しはじめることで、今に伝わる村社会の掟や習慣が出来上がったとされる。

豊作や大漁を祈願する祭りなど、地域によって独特の祭りが確立されると、その地域(集落)に相応しい神を祀るようになった。その神霊を神社の外へお連れするに当たり、一時的に鎮まるために神輿が造られるようになったのである。

祭りと神輿の形態

神輿は、神道の祭りの際に担ぐものだが、大きく分けて神社の「本社神輿」と氏子町会が持つ「町会神輿」がある。氏子(うじこ)は、神道において同じ氏神(うじがみ)の周辺に住み、その神を信仰する者同士のことだ。同じ町内で同じ神を祀るものと思えばいい。

さらに、この中で青壮年部が担ぐものを「大人神輿」、女性が担ぐ輿を「女神輿」子供は「子供神輿」と呼んでいる。

祭りによっては、御輿の巡行に山車(だし)、(ほこ)、だんじり、などの屋台が随行することもある。

通常は本社神輿が1基という場合が多いが、三社祭(さんじゃまつり)で有名な浅草神社のように1社で3基の神社神輿を持つ神社もある。これは、3つの神社の祭りということではなく、浅草神社の旧名である三社大権現社または三社明神社に因んでいる。

こうして祭りの期間中は、本社神輿と町会神輿が氏子の住む地域を回るのが、現在の祭りの一般的な形態となった。

神輿の形状

神輿は御輿とも書き、さらに「御」をつけて「おみこし」と呼ばれる場合がある。神が乗る輿であるので「御神輿」とも書かれる。

その形状は神殿や神社を模したものが一般的だ。

大きさも様々だが、胴が箱型で内部が空洞の物を鳳輦(ほうれん)と呼び、実際に天皇が乗るものとして造られており、そこから発展したものが御輿という解釈でいいだろう。本社御輿に対して町会神輿は小さなものが多いが、神輿は氏子の自腹(町内会費)や寄付によって管理・維持をしないといけないので仕方がない。

屋根は寺社に多い唐破風(からはふ)、もしくは延屋根(のべやね)が採用される場合が多く、通常は屋根の上は鳳凰または擬宝珠(ぎぼし)が置かれる。
唐破風は、平安時代から寺社の屋根に使われている様式で、ゆったりとした曲線が重厚感と華やかさを感じさせる軒面の中央部が湾曲しているのが特徴。一方の延屋根は、軒先のラインが直線的で屋根紋が映えるシンプルな印象。隅から隅までほぼ直線になっている屋根を指す。


※唐破風(向唐破風) 宝厳寺唐門

擬宝珠は、銅などの金属で造られた飾りのことで、橋の欄干の柱の上などで見ることも多いはずだ。


※擬宝珠(京都三条大橋)

担ぎ方

全国的には、ひら担ぎと呼ばれる「わっしょい」の掛け声で神輿を揺らさずに担ぐ地域が多いといわれる。しかし、例外もあって漁師町であった地域では波に揺れる舟のように小刻みに神輿を振る場合や、逆に荒波・転覆を連想させるため御霊が入っている時は神輿を揺らさない地域もある。

神輿を担ぐときに必要な掛け声だが、江戸前担ぎと呼ばれる「えっさ、えっさ」の他、近年では「オイサ」「セイヤ」「ソイヤ」の掛け声が増えている。

「オイサー、コラサー」といった地域もあり、担ぎ方同様掛け声も地域によって様々な種類があるようだ。

現代の楽しみ方


※町会神輿 撮影:gunny

現代では、祭りを見るのも神輿を担ぐのも楽しみのひとつとなっている。
祭りを連休などに合わせる場合もあり、社会人でも比較的に参加しやすい。それというのも、近年では地方での人口減少により担ぎ手も減っているためだ。

特に町会神輿の担ぎ手は、地域を巡るのはもちろん、休憩中のひと時も楽しみにしている。持ち寄った食事の他、差し入れの酒などを飲みながら話をする光景がよく見られるが、昼間から集まって酒を飲める機会などあまりない。気分が盛り上がるのは確かだ。

しかし、休憩中でも神輿を地面に直接下ろすことは絶対にない。神霊が宿る神輿は台座の上に置かれている。


※休憩中の担ぎ手 撮影:gunny

最後に

近年では、移住者が祭りに参加した際に地元のしきたりを知らない場合や・軽んじる場合もある。さらに喧嘩沙汰になるケースもあり、より管理を厳しくする必要がありそうだ。

それでも、神輿は日本人の生活に根付いており、その姿を見ると高揚感を覚える。つい写真を撮りたくなるが、神様に失礼にならぬよう撮影の場合は声掛けをして、神輿を見下ろさない角度から撮影してほしい。

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