ダイエットを始めるとき、食事内容の見直しから行う人が多くいるだろう。中でも王道のダイエット法はカロリー制限ではないだろうか。
カロリー制限をしたことがある人であれば、脂を多く含む食品を食べないことが手っ取り早くカロリーを制限できることを知っているはずだ。
なぜなら、三大栄養素であるタンパク質・脂質・炭水化物は、それぞれ1グラム当たりタンパク質4kcal、脂質9kcal、炭水化物4kcalのエネルギーとなるため、脂質を控えることでカロリー制限ができることは明白である。
しかし、これまでの常識を覆すダイエット法が近年話題となっている。それが「ケトジェニックダイエット」だ。今回は、その「ケトジェニックダイエット」について調べてみた。
ケトジェニックダイエットと糖質制限ダイエット
ケトジェニックダイエットとは、糖質を制限し、脂質を摂取するダイエット法である。
糖質を制限する方法として「糖質制限ダイエット」が有名だが、1日に摂取する三大栄養素のバランスが大きく異なる。
「糖質制限ダイエット」の場合は1日摂取カロリーのうち、たんぱく質を35~40%、脂質を20~30%、炭水化物(糖質)を20~40%摂るように勧めており、糖質を制限することはもちろんだが脂質の摂取を積極的に行うものではない。
一方、「ケトジェニックダイエット」は前述のように、低糖質・高脂質のダイエット法である。具体的に三大栄養素のバランスをしめすと、1日摂取カロリーのうち、
たんぱく質を15~30%、脂質を60~80%、炭水化物(糖質)を5~10%
摂るよう勧めている。1日のエネルギーの半分以上を脂質で摂るとは、ダイエット経験者の多くが耳を疑うのではないだろうか。
ケトジェニックダイエットのからくり
ダイエットで高脂質摂取を推奨することにも驚きだが、一方の糖質の摂取量は驚くほど少ない。
そもそも糖質とは、体内に入ると消化器官でぶどう糖に分解された後、脳を動かしたり、赤血球が全身の細胞に酸素を送るエネルギー源になったりと重要な働きを担っているのだ。それほど重要な栄養素である糖質を極限まで抑えるケトジェニックダイエットにはきちんとした目的がある。
私たち人間の身体は、主なエネルギー源であるぶどう糖が不足すると、代わりに体内に蓄積されている脂肪をエネルギー源として燃やし始めるのだ。このとき生成されるものが「ケトン体」というものであり、そのケトン体が血中に増加した状態を「ケトーシス」という。
ケトーシス状態になれば身体は脂肪燃焼モードに突入し、皮下や内臓に蓄積された脂肪も燃焼され、ダイエット効果があるというのがケトジェニックダイエットのからくりだ。
ケトジェニックダイエットのやり方
やり方については前述のとおりの栄養素バランスで食事を行うものであり、一にも二にもとにかく糖質をセーブすることである。
そうしないと身体がなかなかケトーシス状態に切り替わらないのだ。主食となるごはんやパン、麺類を断つことはもちろんだが、調味料にも注意が必要だ。砂糖やみりん、ケチャップやソースには多くの糖質が含まれているため、普段使っている調味料を糖質ゼロ調味料に改める必要がある。また、自炊をしない人も購入品の栄養成分表示を必ず見るようにしよう。
脂質を多く摂ることもケトジェニックダイエットを成功させるために必要である。脂質と言っても、とんかつや天ぷらを毎日食べていいというわけではなく、「身体に良い脂質」を摂ることが必要だ。身体に良い脂質とは主に「アルファリノレン酸」「EPA・DHA」「オレイン酸」の3つをさす。具体的には、アマニ油やえごま油、カツオやサバなどの青魚、オリーブオイルを積極的に摂るといい。
また、ケトン体を効率的に作り出す脂質として「MCT(中鎖脂肪酸)」があり、身体をケトーシス状態に切り替えやすくしてくれるため、毎日摂るようにしよう。
MCTオイルは熱に弱いため、飲み物にまぜたり、サラダにかけたりするといい。
ケトジェニックダイエットを始める前に
ケトジェニックダイエットについて、仕組みややり方を説明してきたが、注意点もある。
まずは高コストであること。前述のとおり、糖質ゼロの食品や調味料、身体に良い脂質を準備する必要があるのだが、実際に購入するとなると普段購入しているものよりも高価であることがわかるだろう。
また、身体的に不快な症状がおこることがある。例えば、口臭、筋肉のけいれん、めまいなどである。この症状を「ケトフル」と呼ぶ。
通常、糖質を摂っていると体内で水分が保たれるのだが、それを制限することで多くの水分が尿として排出されてしまうため、脱水症状に陥りやすく、疲労感や頭痛に見舞われることがある。そのため、ケトジェニックダイエット中はいつもよりも多く水分を摂ることを心掛けるべきである。
おわりに
ケトジェニックダイエットは脂質を多く摂るため空腹になりにくく、食欲の面では我慢せずに痩せる体質に変わるため、どうしても食べてしまう人にとっては良い方法だといえる。
しかし、食事の種類を厳しく管理することで高コストになりやすく、体調面についても不調をきたすことがあるため、このダイエット法を実践する場合は必ず体調とお財布と相談して行ってほしい。
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