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トミー・ジョン手術について調べてみた

トミー・ジョン手術について

最近野球選手の間でよく聞かれる「トミー・ジョン手術」とは具体的にどういう手術なのでしょうか?

トミー・ジョン手術は肘の靭帯を断裂してしまった場合、自分の他の腱を移植して治す手術の事です。実はトミー・ジョン手術は野球選手にはありがたい存在なのです。
最近は若いころから変化球を投げる投手も増え、肘を壊す確率も高くなっています。
今回トミー・ジョン手術について詳しく解説していきます。

トミー・ジョン手術の歴史は

トミー・ジョン手術について調べてみた

※トミー・ジョン投手 2008年撮影

1974年にフランク・ジョーブ博士によって考案された手術で、肘の側副靭帯に負担をかけ続ける野球選手が主に受ける手術です。野球以外ではやり投げの選手も受けることがあります

手術の由来は簡単です。初めてこの手術を受けたのがトミー・ジョン選手だったからです。
当時ドジャースのエース級投手だったトミー・ジョン選手は、1974年に左肘の腱を断裂してしまう大けがを負いました。

再起絶望と言われていましたがチームドクターだったジョーブ博士がトミー・ジョン手術を考案し成功。トミー・ジョン選手はマウンドに帰ってきます。

トミー・ジョン手術とは

損傷した靭帯を切り取り、手術する肘とは反対側の腕や下腿などから正常な腱の一部を取り出し移植します。

移植した腱が靭帯として患部に定着するのに時間がかかるためリハビリは長い期間行う必要があります。日常生活にも支障が出てきますので腕が動き次第軽めのウエイトトレーニングから始めます。トレーニングを始めて日常生活の運動が問題なくなり次第投球再開できるのです。

日常生活の回復に約7か月を要しますので、実践復帰までには12か月から15か月必要です。選手は1年間リハビリの時間にあてる必要が出てきますね。

最近はリハビリ技術が進歩してきており、トミー・ジョン手術後でも球速を伸ばす選手も増えてきているようです。
ダルビッシュ有選手は良い方向に向かい球速を上げることに成功しましたが、松坂大輔選手は手術後、完全にフォームを崩してしまい球速が落ちてしましました。その結果メジャーリーグでは通用しなくなり日本球界に復帰し、現在中日ドラゴンズで活躍されています。

手術を受けた選手のうち約9割の選手は復帰していますが、手術前の状態に完全に戻ったと考えると数字はもう少し下がる結果になります。できるならメスを入れずに違う治療方法を検討してほうが選手生命が伸びますね。

気になる費用は保険適用で約30万円です。トミー・ジョン手術の場合1回の手術で完治するとは限らず、再手術になった場合も同じ費用がかかります。

ただし、トミー・ジョン手術の場合はリハビリや医師と理学療法士との肘の状態やチェックもあるので、30万円以上はかかりそうですね。

朗報もあります、30万円の金額ですと高額医療制度の適用が受けられます。医療費が戻ってくるので家計に助かります。

トミー・ジョン手術が増えた原因は

なぜトミー・ジョン手術が増えてきたのかは様々な要因が考えられます。

全力投球によるダメージ蓄積、若い年代からのダメージ蓄積、投球による影響、球種による影響、登板間隔による影響があげられます。
常に全力投球や若い時代からの蓄積による故障は見解が発表されており、年間投球イニングや1試合あたりの投球数が多いほど肩やひじの故障が多いことが判明しています。

※羊ケ丘病院 HPより引用

いわゆる野球肘といわれる怪我で、主に投球動作時でのコッキング期からアクセラレーション期にかけての動きで、肘の内側にある靭帯が引き延ばされストレスが溜まっていくのです。

球種で一番負荷がかかるのは「カーブ」といわれていますが最近ではスプリットフォークも負担が多いと考えられるようになりました。どちらにせよ投手のは何かしらのリスクを背負っていることになります。

ダルビッシュ有選手もメジャーリーグの中4日は絶対短いと発言しています。中6日あれば靭帯の炎症も取れるとの事から中4日の先発ローテーションは無理な話ですよね。

トミー・ジョン手術を受けた選手は

※Long day for Mariners fans, and a big day for Shohei Ohtani wikiより

側副靭帯損傷は昔なら引退に追い込まれるほどの怪我でしたが、トミー・ジョン手術ができてからは復帰できる投手も増えてきました。
有名な選手を紹介すると松坂大輔選手、ダルビッシュ有選手、村田兆治選手、桑田真澄選手、最近では大谷翔平選手です。

村田選手は手術後も50勝以上も上げることができ野球殿堂入りの選手になり、桑田真澄選手は復帰した年に10勝し、1998年には最高勝率(.762)、2002年には最優秀防御率(2.22)を記録しています。

桑田選手の手術復帰後の映像は心に残る名シーンで東京ドームのピッチャープレートに手を当てて瞑想しているシーンは感動しましたね。

まとめ

トミー・ジョン手術を受ける選手が多かったですが、最近はPRP療法という新治療法を取り入れている選手も増えてきています。

投手である以上、肘の怪我は付き物かもしれませんが小さいころから投球制限を徹底して予防するのが一番だと思います。

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