COVID-19

コロナ明けの中国。旅行事情やいかに!?

長期戦になったコロナ対策

中国湖北省武漢から始まったと言われる新型コロナウイルスの世界的大流行。
世界中のほとんどの国に影響を及ぼしたと言っても過言ではない。
長い間パンデミックが続き、今や人々の考え方や生活習慣まで変えてしまった。

ステイホームが増えてしまったおかげで、心身ともにストレスを抱えてしまった人が多い一方、家族の在り方、家族との関わり方について今一度考えさせられた人も多いことだろう。

中国ではコロナ防止のために極端な政策をとったため、日常生活を送るのも危うくなり大きな社会問題となった。人々の居住区が閉鎖されたため、食料を確保することもままならない日々が続いたのである。

それでもコロナ感染の勢いは収まらず、中国への渡航は愚か、中国国籍の人の他国への渡航も拒否される日々が続いた。

国内旅行

画像 : 多くの旅行客で賑わう観光地

中国の人口は14億人いると推定されている。

毎年年末年始の帰省ラッシュは「民族大移動」で、かなり混雑する。駅も空港も人、人、人である。大部分の人が帰省するため、チケットの入手は困難で、自家用車で帰省するのも渋滞でかなりの時間がかかる。

最近では端午の節句の連休があった。どれくらいの人が旅行したのか、コロナ明けの様子を見てみよう。

中国は農歴を採用しているため、毎年祝日の日にちが違う。
今年は、6月22日から24日までの3日間の連休が端午の節句であった。

2019年コロナ前は9597.8万人の旅行者だったのに対し、2023年のコロナ後は1億人を超えたと見られる。これは過去最高の数字であった。そして3日間に370億人民元が消費された。

中国の新幹線(高鉄という)はこの連休の三日間、最も多い日で1600万人を乗せて各地を巡り、三日間で総勢7100万人の旅行客を乗せた。

多くの旅行会社や航空会社はここぞと言わんばかりに価格競争を始め、かなりお得に旅行できたという。長いコロナ生活に飽き飽きしていた人々が一斉に解き放たれた。

通行証

台湾や香港、マカオは中華人民共和国の一部でありながら、特別行政区とされている。

そのため、中国に入国するには「通行証」が必要となる。香港やマカオへは「帰省証」という帰省する人のための専用通行証がある。
コロナ禍では感染拡大防止のため、特別なことがない限り行き来を制限されていたが、それも全面的に解除された。

2016年から導入された自動入国窓口も再開された。顔認証と指紋認証がセットになっており、パスポートを置いてゲートが開くと中に入り、指紋と顔認証で入国検査が終了するというものである。

香港人にはコロナの教訓を踏まえてのことか、ノータッチで出入国できるシステムが導入されている。前もってQRコードを取得しておけば、それをかざすだけで出入国が完了する。

これは「e-道」と呼ばれ、時短になるのと同時に人と接触しないことから、何らかのウイルスに感染する危険を避けられる。

画像 : 「e-道」イメージ

その他、中国内地に住んでいる人も「全國通辦」というシステムが導入し始められた。

日本からすると考えられないが、中国では各省が格付けされているのである。栄えている省の戸籍をもっている者は、優先的に台湾や香港へ行ける通行証が取得できる。それ以外の者は順番待ちか、最悪のパターンで取得できない。さすが共産国家といったところである。

この「全國通辦」が導入されたのもそういった不公平を避けるため、戸籍や居住地などの条件に左右されず、自由に「国内旅行」できるようにという取り組みである。

日本人の私たちは、沖縄や日本の離島に旅行に行くのに証明書やビザがいるなどといったことは、考えたことがないだろう。いかに日本が自由かということを感じさせる。

自由に慣れた日本人は、中国へ行くと何かにつけて証明書の提示が必要になるので、窮屈に感じるはずだ。

観光に関しては、2023年7月の段階でも中国の各観光地へのフライトの多くはまだ開放されておらず、気軽に中国へ旅行するにはまだ少し時間がかかりそうだ。

 

草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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