海外

台湾の「人気インフルエンサー」が起こした愚かな事件

晩安小雞とは?

近年、台湾を騒がせた事件がある。

晩安小雞事件である。晩安小雞とはいわゆるインフルエンサーで、彼はYoutubeやTikTokの動画で人気を集めていた。

動画の内容は、廃校や古い病院などに忍び込んで、怪奇現象の真偽を撮影するといったものが多く、人が寄りつかない様な、いわくつきの場所を探検しては動画を撮り、人気を博していた。

晩安小雞の名を世間に知らしめたのは、2020年に撮影されたある1本の動画である。
その動画の内容は、廃墟になった病院に侵入するというものだった。(※現在は本人の動画は削除されている)

そのライブ配信の中でなんと、たまたまミイラ化した死体を発見してしまったのだ。
その動画が大変話題となり、一気に「晩安小雞」は有名人になった。

捏造疑惑

話題となったミイラ発見動画の他にも、彼の動画はかなり過激でスリリングなものだった。
例えば、許可なく侵入したビルで刃物を持った男たちに追いかけられる動画や、たまたま入った学校で3名の男が集団リンチに遭遇している場面だったりと、鬼気迫る動画が多かった。

これらの動画は、学校の近所の住民を恐怖に陥れた。そして視聴者は違和感を感じ始めたのである。

そもそも許可なく建物に侵入すること自体が違法である。しかも、何度も「たまたま」スリリングな事件を撮影するのだ。

信憑性が疑われ始め、フォロワー離れが始まった。

自作自演の報酬

そして晩安小雞は、ついに国を跨いで話題となった。

実は台湾では昨今、新手の詐欺が横行している。

カンボジアに高収入の仕事がある」との誘いを受けて自らカンボジアに渡ったり、ほぼ拉致の形で連れていかれるのだ。

しかし実際は仕事などなく「人身売買」が行われているという。人身売買で売られた者は、違法な強制労働や臓器売買などを強要される。

画像 : カンボジアの街 イメージ

そういった背景もあって、このいわく付きインフルエンサー晩安小雞は、次回作として「カンボジアの詐欺集団のアジトに忍び込む」ことを考えた。

そして、もう1人のインフルエンサー「阿鬧」(お騒がせ者という意味)とともにカンボジア入りしたのである。

2月12日、2人は自作自演でライブ配信を始めた。

まずはFacebookでライブ配信を始め「詐欺集団のアジトに忍び込んだ」と迫真の演技を見せた。
廃墟に忍び込んで何者かに襲われる様子を演出し、捕まったあとに故意にライブ配信を中断した。

その後、友人インフルエンサーや妻がライブ映像を発信し「彼が消息不明になった。情報を提供してほしい」などと話し、人々の注目を集めた。

そして、頃合いを見てまたライブ配信を始める。

その時の姿は、あちこちに怪我をし服は破られ、髪の毛は半分バリカンで刈り取られた痛々しい姿だった。

そして泣きながら「こうなったのも自業自得だ!」などと語ったのだった。

画像 : 晩安小雞 ※by翻攝晚安小雞臉書

あまりにも話題になったため、ついにカンボジアの警察が調査に乗り出した。

その結果、彼らが泊まっていた場所から、偽物の銃や血に見せかけるための赤い液体などが見つかり、捏造が発覚したのである。

こうしてカンボジア警察は、2人を逮捕した。
このあまりにも、悪質な行為に禁錮刑2年、罰金3万台湾ドルが課された。

カンボジアの刑務所の環境は決して良いものではなく、さらに、この愚かなインフルエンサー2人は、今後一生カンボジアに入国することができなくなった。

画像 : 逮捕された2人 ※by新聞雲

動画の視聴者を増やしたい、収益をもっと得たい」というなんとも自己中心的な目的のために、国際問題にまで発展し、ついには逮捕され、台湾にも汚名を着せる形になってしまったのだ。

台湾でも「台湾の恥晒し」「台湾に帰ってくるな」など、多くの人々の反感を買っているという。

一度成功したことで欲が出てしまったのか、なんとも軽薄で愚かな事件となった。

参考 : 晚安小雞判關2年!政黨大咖全表態「不要減刑」 柬國總理不甩求情:應該判更重

 

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草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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