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韓国の若者の間で急増している動物保護活動 『イ・ヒョリ』の影響力

動物たちを新しい家族として迎えてくれる人が見つかるまでの間、一時的に保護し、命を守ることから始まった動物保護活動は、飼い主の育児放棄や不妊・去勢手術を行わないことから発生する多動飼育崩壊といった社会問題を懸命に支えている活動だ。

その活動のほとんどは、ボランティアである。

韓国の若者の間で急増している動物保護活動

愛犬を抱く少年

当初は癒しを求めて飼ってみたけれど想像よりも大変な飼育に疲れてしまうケースや、家庭環境の変化により突然、飼育が難しくなるなどの理由でペットを手放してしまう人が後を絶たない。

可愛い動物を飼いたいという強い憧れの欲求に忠実である人ほど、ペットの一生を守れない傾向にあるともいわれている。

動物福祉に韓国政府が立ち上がった背景

日本と同じく多動飼育崩壊が問題となっている韓国では、動物福祉に関する働きかけが活発化している。

切っ掛けは、住む場所がなく街を彷徨う犬や猫たちへの餌やり、病気にかかってしまった動物たちへの治療など繁殖防止に努めるボランティア活動の努力が、韓国の行政の目に留まったことである。

韓国・ソウルの都市部では、以前からゴミをあさる猫への苦情が相次ぎ、衛生的な面で問題視されていた。ボランティア団体による全ての猫への餌やりは限界があることから、行政の働きかけで野良猫の餌を定期的に提供する『猫の給食所』と呼ばれる小屋の設置が行われた。多いところでは20カ所以上もの設置があるという。

このように韓国が国を挙げて積極的に動物福祉活動を行う理由には、やはり韓国のムン・ジェイン大統領の動物愛が関係していた。

韓国の若者の間で急増している動物保護活動

文在寅

ムン・ジェイン大統領自身も、実際に保護犬や保護猫を家族として迎え入れているほどの動物愛が強い人物として話題を集めている。

動物を飼う際の一定の教育を受講する義務』の実現化と『ペット税』の検討もされていることから、韓国政府の動物福祉改革が本格的に始動するのも時間の問題である。

『養子縁組』への強い呼びかけを発信する影響力

週末の休みになると、作業着に身を包み動物保護ボランティアに参加する韓国の学生たちの姿がある。

若い世代を中心に、多くの保護犬や保護猫が待つ施設へ向かい、小屋の掃除から餌やり、時には動物たちのシャンプーや怪我の手当てまで行っている。もちろん、政府の積極的な動物福祉への取り組みを受け参加を希望する人々が増えたことも事実だが、韓国で影響力のある芸能人の呼び掛けも、ボランティア活動に参加を決めた理由のひとつに挙げられる。

韓国の芸能界を代表する動物愛護家そして、私生活でも動物保護活動に携わる『イ・ヒョリ』の影響力はとても大きい。

90年代を代表する韓国の女性アイドルグループでデビューした彼女は、飾らない性格とアイドルという枠組みにとらわれない存在感を放ち、爆発的な人気を得た。自分の意志をはっきりと主張する彼女の姿が、これまで韓国にはなかった『芯が通ったかっこいい女性像』を新たに生み出したともいわれている。

韓国の若者の間で急増している動物保護活動

イ・ヒョリ

そんな彼女は結婚後、自然豊かな韓国の済州島(チェジュド)に移住し、保護犬や保護猫のために広い庭を用意するなど、夫婦で保護活動に携わる姿が度々話題となっている。

動物を題材としたドキュメンタリー番組では、保護した動物の最期を看取る大切さを語り、芸能人としての彼女ではなく、動物をこよなく愛する人間『イ・ヒョリ』の姿が多くの若者の共感と感動を得た。動物と共に暮らす彼女のライフスタイルや、考え方に影響を受け、動物との触れ合いを改めて考えさせられる人が急増した。

韓国のSNS上で話題となった『買わないで、養子縁組しよう。』という動物保護活動を象徴するこの言葉は、『イ・ヒョリ』自身も長年、発信し続けているものだ。ペットショップで気に入った子を買うのは簡単なことだが、その前に人間の愛情と救いの手を必要とし、新しい家族を待っている子たちが大勢いることを忘れないで欲しいというメッセージが込められている。

現在もボランティア団体や、動物を愛する人々を中心に拡散され続けている印象的な言葉だ。

動物たちの明るい未来を実現する取り組みとは

世界では、様々な理由で飼い主から手放された行く当てのない動物たちの殺処分が行われている。飼い主を選べない動物たちが、無条件に命を終えなければいけない残酷すぎる現実はとても苦しい。そんな現状をいち早く変えるために韓国では、国を挙げて動物たちの養子縁組への呼び掛けを活発化させている。

また、新たな試みとして動いているのが、殺処分を余儀なくされる犬や猫たちの新たな活躍の場を提供する取り組みだ。専門の訓練を受け、保護犬から救助犬、盲導犬といった人間を支える立場への転身を実現させている例も多く、動物たちの明るい未来に期待が持てるようになってきている。

日本でも同じ取り組みが積極的に実施されており、保護犬や保護猫たちの多くの命が救われている。

癒されたい』『可愛いから一緒にいたい』という想いから動物との生活を選ぶことに反対はしない。愛情を持って一生をかけて大切にしてくれるなら。動物を家族に迎える際に、いちばん基本とされている『動物の命に責任を持つこと』を改めて考えてほしい。

可哀想だから』という理由で多動飼育を続けることも決して動物のためにはならない。

命の責任を持った上で動物と人間との一定の距離を保ち、互いに負担のない生活を維持することが動物にとっても私たち人間にとっても幸せな時間を送ることに繋がる。

今後、動物を家族として迎える予定がある際は、『買わないで、養子縁組しよう。』この言葉を思い出してくれたら幸いだ。

 

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草の実堂編集部

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