海外

シンガポールはライオンがいないのに、なぜ「獅子の街」なのか? 【マーライオンの由来】

シンガポールはライオンがいないのに、なぜ「獅子の街」なのか?

画像 : シンガポールのマーライオン公園に設置されているマーライオン wiki c

シンガポールと聞いて、多くの方がまず真っ先に思いつくイメージは「マーライオン」なのではないだろうか。

マーライオンは、頭がライオンで下半身が魚であるが、シンガポールという国名もライオンに由来しているのである。

シンガポールの名の由来

シンガポールについての最も古い文献は、三国時代の中国のの史料だとされている。

呉の孫権に仕えていた康泰(こうたい)が東南アジアに派遣され、「呉時外国伝」という書を著した。そこに蒲羅中(半島の先端の意)という地名があり、これが最も古いシンガポールの文献とされている。

7世紀頃になると「テマセック」という名の漁村として知られるようになり、その後は海賊を生業とする住民が住み、外国船も多く寄港していたという。

14世紀末になると、古代サンスクリット語で「ライオンの町」を意味する「シンガプーラ」という名称が定着し、現在の「シンガポール」の由来となった。

「シンガ」は古代サンスクリット語で「獅子」の意味があり、「プーラ」は街を指す。合わせて「ライオンの街」ということになる。

ライオンがいないのに、なぜ獅子の街になったのか

「ライオンの街」と聞けば、誰しもが「かつてライオンがいたのだろう」と想像してしまうと思うが、実際にはシンガポールにライオンが生息していた記録はない。

ではなぜ「ライオンの街」と名付けられたのだろうか? これには諸説ある。

1. 11世紀頃、スマトラ島の王族・サン・ニラ・ウタマがこの島に向かって航海していた時に、海が嵐で大変荒れた。そこで王冠を海に投げ入れると嵐が静まり、なんとか上陸することができた。その時に不思議な生き物に遭遇し、現地人にライオンであると教えられた。(しかし実際は虎だったともされている)

2. 11世紀初頭、この島を襲った東インドの王が、理由は不明だが「獅子の街」と名付けた。

3. 12世紀、この島を攻略したスマトラの王が、王家の反映の為に「獅子の力」にあやかろうとして名付けた。

4. 「シンガ」は「獅子」の他に「寄港」も意味し、単に寄港地という一般名称だった。

このように諸説あるが、シンガポールではサン・ニラ・ウタマによって建設され、この名がつけられたとする説が通説となっている。

マーライオンの下半身はなぜ魚なのか?

1964年、シンガポールで政府観光局が設置され、ヴァン・クリーフ水族館の館長レイザー・ブルーナーによりマーライオンは作られた。

彼は伝承に残るライオンと海のイメージを組み合わせて、マーライオンのデザインを考案したのである。

当初は彫刻ではなく「シンガポール観光局のロゴマーク」として利用されており、ロゴも1997年まで使用されていた。

ちなみに人魚のようなマーライオンであるが、性別は雄であるという。

このように、元々生息していなかったライオンに加え、途中から人魚属性も加わり謎の生物として誕生したマーライオンであるが、かつては「世界三大がっかり観光名所」の一つとして数えられたが、現在では移転、修復されて徐々に人気を取り戻している。

参考文献 : 地理の話大全

 

Xでフォロー 草の実堂をフォローして最新情報をチェック

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 『インド×パキスタン』の核危機がもたらす連鎖的恐怖 〜プーチンの…
  2. 【コービー・ブライアント】2020年ヘリコプター墜落事故 「なぜ…
  3. 中世から存在していた「パティシエ」という職業
  4. 画像 : 台湾の頼清徳総統 public domain 台湾独立派の新総統「頼清徳」のスローガンと興味深い選挙活動
  5. 非日常が味わえる 「マレーシアのランカウイ島」
  6. ポンペイはなぜ一夜にして消えたのか? 【石膏で復元された遺体】
  7. アラモ砦の戦い【映画にもなったテキサス独立叙事詩】
  8. 世界最大の銀行一家「ロスチャイルド家」の歴史と総資産

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

中国人はなぜ種を食べるのが好きなのか? 【明の皇帝はスイカの種が大好物だった】

種をひたすら食べる光景中国人や台湾人はお茶菓子の代わりに「瓜子 : gua zi」を食べる。どこ…

占いと陰陽五行説について調べてみた【古代中国】

占いを調べると『陰陽五行説』という言葉に幾度となく出会う。しかし、難しすぎてなかなか分からない。…

平安時代の女性の服装について調べてみた

平安時代と言えば、朝廷文化が栄えた華やかな時代である。貴族社会であり、高貴な身分を持…

誕生日石&花【6月11日~20日】

他の日はこちらから 誕生日石&花【365日】【6月11日】勤勉で集中力があり、理想を貫く。情…

『イスラエルとイランの軍事衝突』日本が真っ先に備えるべき事態とは?

2025年6月13日、イスラエルがイランに対して軍事攻撃を仕掛けたことを契機に、両国間の緊張が一気に…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP