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「日本全国ご当地鍋とその歴史」について調べてみた

鍋の意味

「日本全国ご当地鍋とその歴史」について調べてみた

なべとは、「肴瓮(なへ)」。さかなを瓮(へ)という土焼きの器で煮炊きしたことから生まれた言葉で、じきに堝の字があてられるようになり、鉄鍋の普及と共に「」という字になりました。
かつては土編のなべと金偏のなべを使い分けていたようです。土鍋と金物の鍋ですね。

鍋っていつからあるの?

「日本全国ご当地鍋とその歴史」について調べてみた

※弥生人と弥生犬の復元模型 wikiより

鍋の歴史について調べてみました。

弥生時代

貝殻を鍋のようにして使用していました。

平安時代

鉄鍋が初めて登場します。「延喜式(えんぎしき)」に鉄鍋を朝廷に献上したことが記されています。

室町時代

「日本全国ご当地鍋とその歴史」について調べてみた

囲炉裏が一般家庭に普及して大鍋料理が一般的に食べられるようになりました。

鍋から小鉢に取り分けて座敷に運ぶスタイルで、皆で鍋をつつきあうものとは異なりました。

江戸時代

鍋をつつき合う食文化」が登場したのがこの時代です。

食文化の発展に伴い鍋料理店も流行り、あんこう鍋、田楽鍋、あさり鍋、ねぎま鍋、どじょう鍋、湯豆腐店などが多く出店されました。

庶民の家庭でも鍋は食されます。当初庶民の生活は質素でまきや水も貴重でした。鍋と火鉢と水と食材さえあれば、なんでもごった煮で簡単にできてしまう鍋料理。また水分も一緒にとることができて満腹になるので、経済的な鍋料理は庶民の間に発達していきます。

囲炉裏での大鍋料理に対し、少人数で食べられる火鉢やコンロで食べる鍋のスタイルは小鍋仕立てと呼ばれました。

江戸時代に発達し始めた小鍋仕立てですが、テーブルが無く、箱膳で銘々で食べる食事スタイルであったためになかなか根付かず、庶民の間に普及したのは後の明治時代になってからです。

明治時代

「日本全国ご当地鍋とその歴史」について調べてみた

文明開化の波が押し寄せ、牛鍋(すき焼き)が大流行します。

ちゃぶ台の普及によりお茶の間で家族で鍋を囲むという食事スタイルが一般化していきました。

現代

カセットコンロの発明と普及により鍋料理は家庭料理として定着します。

インターネットや流通が普及、発展して、どの地方の鍋でも手軽に味わえるようになります。またさまざまな鍋スープが登場し鍋の新時代が到来しました。

使用される鍋

熱伝導率が低く、長い時間煮込んでも焦げ付きにくい土鍋がもっともポピュラーです。
料理によっては、焼き付ける必要があるすき焼き鍋やジンギスカン鍋などは金属製を使用することもあります。最近はIH対応の電気を通す土鍋風のホーロー鍋なども登場しています。

代わりどころとしては、耐水性の和紙にスープと具材を入れて直火で炙る紙鍋や、昆布を器にする昆布鍋などもあります。青森の貝焼きはホタテの貝殻を使って具材を煮込む鍋料理です。

ご当地鍋&汁の種類

お馴染みの鍋はあるでしょうか?定番のものから、最近流行りの郷土鍋や郷土汁も列記してみました。

・北海道・・石狩鍋、三平汁、カニの甲羅鍋、イカ鍋、ジンギスカン鍋、スープカレー鍋
東北
・青森県・・タラのじゃっぱ汁、タラのたず(精巣)鍋、イカ(精巣)鍋、シャモロック煎餅汁
・岩手県・・どんこ汁、ぬっぺ汁、そばはっと、白金豚のしゃぶしゃぶ
・秋田県・・きりたんぽ鍋、しょっつる鍋、笑子豚(エコブー)のしゃぶしゃぶ
・宮城県・・カキ鍋
・山形県・・山菜鍋、芋煮鍋、鱈のどんがら汁
・福島県・・美肌コラーゲンミックスちゃんこ
関東甲信
・栃木県・・山菜鍋、ぬっぺ汁、とちぎ和牛のすき焼き鍋
・群馬県・・おっきりこみ
・茨城県・・あんこう鍋
・埼玉県・・かわじま呉(ご)汁
・千葉県・・ぼたん鍋
・東京都・・土壌鍋、柳川鍋、蛤鍋、おでん、ねぎま、すき焼き、さくら鍋、ちゃんこ鍋、もつ鍋
・神奈川県・・よこはま鍋
・長野県・・竹の子汁
・山梨県・・みみ鍋
東海
・静岡県・・ぼたん鍋、もつカレー鍋、静岡おでん
・愛知県・・土手煮
・岐阜県・・各務原(かかみがはら)キムチの鍋
・三重県・・伊賀牛のすき焼き
北陸
・新潟県・・のっぺい汁
・富山県・・ぶりしゃぶ
・福井県・・カニちり、越前ガニ鍋
・石川県・・治郎鍋、タラちり鍋、ごり汁、とり野菜鍋
近畿
・滋賀県・・かも鍋、鴨すき
・京都府・・湯豆腐、まる鍋、ハモしゃぶ
・大阪府・・船場汁、関東煮、クジラ鍋、うどんすき、水菜鍋、てっちり
・兵庫県・・すき焼き、しゃぶ鍋、姫路おでん
・奈良県・・飛鳥鍋、若草鍋、大和鍋
・和歌山県・・紀州赤鶏のとり鍋
中国
・鳥取県・・ばばあ鍋
・島根県・・松葉ガニ鍋
・岡山県・・そずり鍋
・広島県・・カキの土手鍋、美酒鍋
・山口県・・フグちり、ミカン鍋
四国
・徳島県・・いのしし鍋
・香川県・・打ち込み汁、源平汁、べえすけ鍋
・愛媛県・・きじ鍋
・高知県・・清水サバのしゃぶしゃぶ
九州
・福岡県・・水炊き、フグ汁、もつ鍋、炊き餃子
・大分県・・黄飯汁、がん(蟹)汁、だんご(包丁)汁、フグちり
・佐賀県・・温泉湯豆腐鍋
・熊本県・・だご汁
・長崎県・・アゴの炒り焼き鍋、具雑煮、山海のオリーブ蒸し
・宮崎県・・けんちゃん汁、地頭鶏(じとっこ)鍋
・鹿児島県・・さつま汁、春寒汁、豚角煮込み、霧島神話ぼっけ鍋
・沖縄県・・アグー豚のしゃぶしゃぶ

具材の特徴

北海道は鮭やじゃがいもを多用します。きりたんぽは秋田がだんとつです。くずきりは近畿(三重と和歌山は少ない)、中国、四国で好まれています。

豆腐は東日本では焼き豆腐が好まれ、西日本では比較的使用率は少なくなります。絹豆腐は関東、中部、近畿地方でよく使われ、特に中部地方では高い使用率です。木綿豆腐は四国地方でとても好まれ、特に高知県では全国トップの使用割合です。

厚揚げの使用率は九州でとても高く、北海道に次ぐ大豆の生産地ならではの使用率と言えます。

鍋つゆのだし、味付け

九州地方は、あごだしの使用率が高いです。あごだしは東にいくにつれ使用率は低くなり北海道ではほとんど使用例がありません。近畿地方ではうどんのだしが鍋のだしとして使われることが多いようです。

味付けには塩、醤油、味噌と全国で使用されますが、味噌は北海道、東北地方、中部地方でよく使われています。

つけだれ・調味料

全国的にみるとぽん酢、ゴマダレ、柚子胡椒が人気です。

ぽん酢と共に柚子胡椒は圧倒的に九州地方で指示されています。全国ではあまり鍋のたれとしては使用されないコチュジャンは北海道では使用割合がとても高い調味料です。

鍋のしめ

鍋のしめとしてはうどんが2強です。

特にうどんは徳島県・香川県で人気です。うどんの次に人気のラーメンは北海道で特に好まれています。さらに長崎ではしめにはちゃんぽんにこだわっているようです。

世界の鍋料理

世界各地でも家族や飲食店で鍋を囲む習慣があるようです。どんな鍋があるのでしょうか?

中国・台湾・・・火鍋

お箸の文化の中国は鍋料理が浸透しています。長い箸は鍋をつつくにはとても適したアイテムです。正式な晩餐ではなく家族や友人と楽しむ食卓の料理です。

韓国・・・プルコギ、チゲ

農村のお昼休み、焚火の上に鍋を乗せチゲを作ります。

ご飯とキムチを持参。鍋の汁をかけて食べたり、鍋にご飯を入れたり。鍋の原点のような料理。
家庭の食事でも外食でも、やはりキムチや小皿を沢山並べた中心に鍋がどんと据えられみなでつつき合う習慣があります。
味付けはもっぱらコチュジャン、素材の味というよりもすべてコチュジャンの味になります。

タイ・・・タイスキ、トムヤンクン

中央に炭を入れる独特の鍋を使います。トムヤンクンはスープかと思いきや、この鍋で供されると鍋ものになりますね。

タイスキは華僑から伝えらえた鍋料理がタイ風にアレンジされたものです。タイの鍋の特徴は辛くて酸っぱくて甘みがある。卓上に据えられた調味料で自分流に味付けをアレンジできます。

ベトナム・・・カインチュア

中国文明の影響が強いベトナムは、やはりお箸の国です。

鍋はタイと同様真ん中に炭を入れるスタイルです。味付けは酸っぱいタマリンドやパイナップルを使用します。

ミャンマー・・・ウェタードウトウッ

静岡おでんのようにすべて串に刺した豚の内臓を鍋で煮込んだもの。鍋の周りを囲んで食べながら注文する。

モロッコ・・・タジン鍋

食卓の真ん中にタジン鍋。適当に割ったパン。銘々鍋の中の肉や野菜ををパンにはさんで食べます。

その他

スチームボート(マレーシア)、カタプラーナ(ポルトガル)、ギャコック(チベット)、
フォンデュ(スイス)

最後に鍋の小ネタ

これからの寒い季節家族で囲むと温かさ倍増の鍋について述べてきましたが、最後に鍋の小ネタを紹介します。

ぽん酢の由来

オランダ語の橙の果汁を指すポンスが語源だと言われています。

土鍋のひび割れの修理

土鍋でおかゆを炊くとでんぷんがひびにしみ込みコーティングしてくれるので水漏れを防いでくれます。小麦粉を水で溶いたものや米のとぎ汁でも代用できます。
食材の臭いが気になるようになった鍋は茶殻を入れて煮立たせると臭いが抑えられます。
大事に使うと長持ちしそうですね。

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