健康

精神科と心療内科の違いとは? 入院形態や支援制度について解説

コロナ禍のいま、テレビなどで「コロナうつ」と言う言葉を耳にする機会が増えてきました。

・新型コロナウイルス感染拡大による自粛生活の継続
・自身・家族が新型コロナウイルスに感染しないかと不安感に駆られる
・経済の悪化により、仕事が上手くいかないことや給料の低下による不安感 

など、いろんな要因により多くの方が精神面のバランスを崩しやすくなっています。
今回は、精神科や心療内科について概要をわかりやすく解説いたします。

精神科と心療内科の違いは?

精神科と心療内科の違いとは?

精神科とは

精神科とは、うつ病や統合失調症をはじめとする、「こころの病気」を診る医療機関となります。

アルコール依存症や薬物依存症、認知症なども、精神科での治療となります。

不安感や気分の落ち込みによって幻覚や妄想などの症状が出ることもあります。
みんな私の悪口を言っている」「隣の人が私の行動を監視している」などの思い込みも、よくある妄想のひとつです。

精神科で扱う主な疾患
・うつ病
・双極性障害(躁うつ病)
・統合失調症
・適応障害
・発達障害
・認知症
・アルコール依存症
・睡眠障害

心療内科とは?

心療内科とは、心理的な要因から身体に影響がでる「心身症」が主な対象となります。

例えば、内科を受診しても特に異常は無いにもかかわらず、「職場に行くのが苦痛であり、頭痛や吐き気に襲われる」などの症状が出る場合などは、心療内科を受診してみることも一つです。

心療内科で扱う主な疾患
・心身症
・消化器心身症
・うつ病
・睡眠障害
・摂食障害

精神科って怖くない?

精神科」と言うだけで怖いイメージがあり、受診のハードルが高い気がしますが、他の病院と大きく違うところはありません。
通院されている方の中には、学生・主婦・OL・サラリーマン・高齢者など、いろんな方がおられます。

精神科は「心の不調」を診察し、治療を行う病院です。
心の不調は誰しもが抱える不調です。そのような不調が長期間継続すると、日常生活にも影響が及びます。

最近のクリニックは、清潔感があり、明るい雰囲気の病院も多く、「怖い」「暗い」イメージとは全然違うので、受診しやすい環境となっています。
また、自身が感じる不安感なども、主治医や精神保健福祉士に相談してみるのも良いです。

精神科はカウンセリングだけではなく、内服処方も行い治療を行ってくれます。

精神科って入院できるの?

精神科と心療内科の違いとは?

精神科への入院形態はいくつか種類があります。

任意入院

患者本人の同意に基づいて行われる入院です。自分の意思で入院し、自分の意思で退院できます。また、病院は任意入院患者の行動の抑制は行いません。
ただし、任意入院であっても病状によっては、他の入院形態に変更となる場合があります。

医療保護入院

精神保健福祉法第33条に規定されている入院形態です。本来は任意入院が望ましいものの、精神科医療の特殊性として患者本人が入院を望まない場合でも、精神保健指定医が入院加療を必要だと判断し、かつ家族等が同意する場合には、治療のためにやむを得ず入院となることがあります。これは患者の健康と生活を守るためです。

医療保護入院で入院した方は、精神保健指定医が入院を続ける必要がないと判断したときに、退院することができます。

措置入院・緊急措置入院

患者や家族の希望により行う入院形態ではありません。状態としては、精神障害のために自分自身や他人を傷つけてしまう恐れのあると認められた場合、医療及び保護のために、都道府県知事の指示により二人の精神保健指定医が診察し、二人ともが措置入院に該当と判断しなければ入院となりません。

応急入院

入院を必要とする精神障害で、自分自身や他者を傷つけてしまう恐れはないが任意入院を行う状態ではない患者。精神保健指定医の診察が必要であり、入院期間は72時間以内となります。

家族等とは

入院時に、患者様が入院に対して、その精神障害のために正しい理解ができず、代理で入院の判断をする方になります。

後見人
配偶者
親権を行うもの
三等身内の家族(ただし、三等身(叔父・叔母など)では、家庭裁判所の選任が必要。)
配偶者以外の扶養義務者のうちから家庭裁判所が選任したもの

自立支援医療って?

うつ病などの精神疾患では症状や状態によっては、継続的な通院が必要となる場合もあります。
そのため、医療費の負担を軽減できる「自立支援医療制度」があります。

一カ月あたりの医療負担が、世帯収入により上限が設けられる制度になります。

自身が、自立支援医療の対象となるかどうかは、受診先の医師や受付けに確認してください。

最後に

ストレスなどが原因で心に不調を感じ、いざ受診しようと思っても「心療内科」「精神科」どちらを受診すればいいのか分からない場合もあると思います。

そんなときは、「心療内科」と「精神科」の両方を診察している病院へ受診するか、かかりつけ医に相談して指示を仰ぎましょう。

 

草の実堂編集部

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草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

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コメント

    • 名無しさん
    • 2021年 4月 19日 5:37pm

    気を付けてないと
    精神科・心療内科通院歴あるひとは生命保険入れなくなったりするかんな

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