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「口裂け女」 の都市伝説はどうして生まれたのか?

「口裂け女」

illusAC ニッキー

噂された口裂け女の外見と特徴

大きなマスクをした女性が、学校帰りの子どもへと問いかけてくる。

私、きれい?

彼女を見上げた子どもが「きれい」と素直に答えると、「……これでも?」とマスクを外す。
するとその口は、耳元まで大きく裂けていた――。

きれいじゃない」と答えると、刃物で口を切られる――あるいは、殺されてしまう。

これが一般的に聞く、口裂け女のお話ではないでしょうか。
彼女は色白で細身、若い女性とされることが多いようです。

大きなマスクの色は白、というのがほとんどのようですが、まれに茶色のマスク、と紹介されたこともあるようです。
これは、もともと白かったマスクが口の裂けた部分から流れ出た血で染まり、茶色に変色したというもの。

服装についても、緑や黒などの色を身につけている、というものもありますが、一番多いのは「全身赤系統の服を着ている」というストーリーのようです。

赤をまとっているものが多い理由には、浴びた血を目立たないようにするため、という説があります。
逆に、浴びた血を目立たせるために「白い服を着ていた」という話もあるとか。

そして彼女が持っている刃物の種類は、ハサミ・メス・包丁・鎌・鉈・斧など、様々です。
地域などによっても違うようですが、その中でも鎌やハサミとするものが多いようでした。

口裂け女の都市伝説は岐阜から始まった

一番最初に口裂け女の噂が広まったのは岐阜県です。

岐阜県多治見市の愛岐トンネル群のひとつ、13号トンネルから始まったという説もあります。
口裂け女がこのトンネルに常駐し、近くの小学校の子供に「私キレイ?」と話しかけていたという噂です。

このトンネルは工事の時に事故が多かったようで、現在でも心霊スポットとして有名です。

他には、岐阜県の農家のおばあさんが母屋から離れたトイレに行った時に、口裂け女を見て腰を抜かした、という話もあります。

1978年12頃に岐阜県で噂話が広がり始め、1979年1月に岐阜の新聞に初めて「口裂け女」の記事が掲載されました。

その後、多くのメディアで取り上げられるようになり、またたく間に「口裂け女」は全国的なブームとなりました。

どうして口が裂けてしまったのか?

そもそもどうして、彼女は口が裂けてしまったのでしょう。

大きく分けて三つの説があるようです。

そして口裂け女の境遇として、もっとも多いのが「三人姉妹」というもの。口裂けとなった原因も三人姉妹に関連するものが多かったです。

一、整形手術失敗説

・三人とも整形手術をし、末妹のみが手術に失敗した。

・三人のうち長姉が整形手術に失敗し、次姉は交通事故に遭う。口が裂けた二人の姉を見て末妹が発狂し、己の指で引っ張り口を裂いた。

二、嫉妬説

・上記の別バージョン。整形手術に失敗した長姉が、一人だけきれいなままでいる妹の口を鎌で裂いた。

・三人のうち、一人だけ秀でて美人だった末妹の美貌を嫉んだ姉が、口を裂いた。

三、事故説

・草刈をしていて、誤って草刈鎌で自分の口を裂いた。

・熱いコーヒーによる火傷。

・出産時、医師のメスが誤って口を切った。

他にも、醜い顔で産まれた妹を哀れんだ母が、美しく産まれた双子の姉の口を裂いたとされる話もあるそうです。

妹ではなく姉が口裂け女となった、珍しいパターンです。

口裂け女への対処法

不運にも口裂け女と遭遇してしまった場合、どうすれば助かるのでしょう。

まずは、口裂け女が苦手とされる「ポマード」を三回唱えるという説が有名です。
ポマードをぶつけたり、掌や足裏にポマードと書いても、口裂け女を退散させられるのだとか。

犬が苦手な口裂け女に「犬」と書いた掌を突き出すか、「犬が来た」と繰り返し言えば、これもまた怖がり逃げ出すといわれています。

逆に、口裂け女の好物とされる「べっこう飴」。
与えれば口裂け女は夢中で舐めるため、その間に逃げれば良いそう。

「きれい」と答えても家の近くまで追いかれられ、結局、殺されてしまうという話もあることから、逃れるには「ふつう」と答えるしかない、とするものもあります。

江戸時代からいた口裂け女

「口裂け女」

『絵本小夜時雨』より「吉原の怪女」

1979年冬頃から語られるようになった口裂け女。じつは江戸時代に既に目撃談が語られています。

江戸時代の怪談集『怪談老の杖』には、雨の日にキツネが化けたとされる口裂け女の話が載っているそうです。腰を抜かした男は歯が全て抜けてしまった挙句、息を引き取りました。

同じく江戸時代の『絵本小夜時雨』には、客が遊郭の廊下で遭遇した、口が耳まで裂けた太夫の話があるそうです。

こちらは死亡したというわけではないようですが、あまりのショックに気を失いその遊郭へは二度と行けなくなった、とのこと。

江戸時代に目撃された口裂け女は「刃物を振り回す、口を裂く」などの記述はなかったようです。

他にも「いたずら」や、「親の事情による偽り」などの説もあり、それほど『口裂け女』の話には多くの説やバリエーションがあります。

「火のないところに煙は立たない」と言いますが、もしかしたら本当に噂のきっかけとなる人物はいたのかもしれません。

 

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