16世紀、フランスのノストラダムスは『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』において、四行詩集の形で予言を残した。
「1999年7月、恐怖の大王が来るだろう」といったアレである。数百年来、様々な解釈がなされ、今では終末説は正しくなかったことは、我々が一番よく知っている。
しかし、ノストラダムスと同じ時代にイギリスの預言者 マザー・シプトン も予言を残していたことはあまり知られていない。
世界終焉の予言
ミステリーニュースメディア「EWAO」が報じたのは、マザー・シプトンこと、アーシュラ・サウセイルが残したという世界終末の予言である。
彼女はイギリス・ヨークシャーのネアズバラで生まれたが、容貌が醜かったため悪魔の子とも噂された臨まれない子供だったようで、出産後に養子に出されたという。
そこで占いと予言に精神的な拠り所を見付けたようだ。
1512年にトビー・シプトンと結婚し、生涯を通じて様々な予言を残した。ただし、その生涯にほとんど知られていない。
現在、マザー・シプトンが生まれたとされるネアズバラには「マザー・シプトンの洞窟」がある。
最後の審判
さて、マザー・シンプトンの有名な予言としては次のようなモノがある。
「馬のない車両が行き、事故が世界を悲嘆で満たすだろう」
これは明らかに自動車のことである。そして、
「丘を突き抜けて人は乗り行くが、傍らに馬はいない」
丘とはビルのことを指しているようだ。ここにも「乗り行くが、馬はいない」ということから、ビル街を走る自動車が連想できる。
「水の下で人々は歩き、乗り、眠り、語るだろう」
これは潜水艦やダイビングのことを語っているのだろうか。
「空中に居るのを目撃されるだろう、白、黒、緑の服を着た人々が」
これも軍隊によるパラシュート降下か、スカイダイビングを連想させる。
「世界中を思考が飛び行くだろう、瞬く間に」
インターネットや携帯電話のことだと解釈できる。
このように未来を予言していたマザー・シプトンだが、世界の終末をも予言していた。
「ガブリエルが海岸に立つと嵐と轟音が巻き起こる。彼が笛を吹くと古い世界は死に、新しい世界が生まれる」
ガブリエルは旧約聖書に登場する天使であり、キリスト教においては「最後の審判」のときにラッパを鳴らすのだ。
人類が見る恐るべき光景
「地球が滅びる前に激しい竜が6回空を横切る。人類はこの予言に震え、恐れるだろう」
ここでいう激しい龍とは彗星などの小惑星を指していると思われる。6回というのは木星に衝突したシューメーカー・レヴィ第9彗星のように砕けた欠片のことを意味するのか、百武(ひゃくたけ)彗星のように地球に大接近し、落下するまでに地球を6周することを意味するのかはわからない。
しかし、その後の予言では
「7日7晩、人類は恐るべき光景を見る。津波が起こり、海岸に襲い掛かると山が轟き、地震が平野を割るだろう」
とあり、さらに
「人間は恐怖の中で災害から逃げ、殺し合い、レイプをし、人の手によって血を生み出す。多くの土地を汚染する」
と書かれている。
これは隕石が地球に衝突したことを切っ掛けに大災害が起こり、世界大戦が勃発、人々は兵器により土地を汚染するというのだ。
我々の知らない世界
しかし、問題はそのことだけではない。この大戦がいつ始まるのかということだが、世界終焉の年は判明している。
「世界は終焉を迎えるだろう、1881年に」
そう、世界は130年以上も前に滅んだことになっている。
この予言を世界大戦という枠で考えるならば、第一次世界大戦は1914年に勃発し、第二次世界大戦は1939年に勃発した。しかし、どちらも勃発前に世界的な自然災害は起きていない。単純に予言が外れたと笑い飛ばすこともできるが、彼女の予言は当時の政治的な変化、疫病の蔓延など細かいものも多くあり、それらはことごとく的中している。
だから、世界の終焉だけ外したとは考えにくい。予言にも「古い世界は死に、新しい世界が生まれる」と書いてある。では、いま我々が生きている世界は一度リセットされた世界なのだろうか?
歴史を変えたのか?
そこで考えられるのが「多世界解釈」、いわゆるパラレルワールドの存在である。SFの題材としてはありふれたパラレルワールドだが、その存在は否定されていない。
量子論における根本原理にパラレルワールドは多世界解釈として登場する。ひとつの事象から世界が分かれ、多数の平行世界が存在しているという考え方で、この世界では今画面を見ているあなたが、同時に進行する別の世界では違うことをしている可能性があるというものだ。
正確に説明するとかなり長くなるので割愛するが「存在していても観測できない世界」と思えばいい。もし、1881年以前に世界線が分岐し、そうした別の世界で1881年に世界大戦が勃発していれば、現代ではどのような世界になっているのかとても気になるところである。
ちなみにここに挙げた予言は、17世紀に書かれたマザー・シプソンの伝記や19世紀に書き足された捏造との見方もあるが、それを認めるだけの材料がないのも確かである。
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