パンダ外交ならぬ象外交
中国は国家間の有効の証のためにパンダをレンタルしている。いわゆるパンダ外交である。
パンダは中国の専売特許であり、パンダが国外で病気になったりすると中国人は一斉にパンダを擁護し、その国を批判し始める。
タイでは、象を外交の手段として外国に寄贈したり贈ったりしている。送られた先で象が虐待され、タイ政府が返還を求めているというニュースもあった。
では、タイ国内での状況はどうなのだろうか?
タイでは象を崇拝の対象としている。実際にタイでは象の神が崇拝されており、ピンクの象が祀られている「ワット・サマーン・ラッタナーラーム」はとても有名である。
そして象はタイの観光大使でもある。タイ旅行で象に乗ったことのある方も多いだろう。
その可愛らしいくゆったりとした姿は、多くの観光客を楽しませている。
ところがその反面、象への虐待が問題視されている。
観光のために象を着飾らせて目を覆う布をつけたり、目の周りに刺青をびっしり入れるなど、象の体を痛めつける例も少なくない。
毎日観光客を乗せなければならない母親象たちは、妊娠してもお腹の中で子供が死んでしまい死産となるケースが増えているという。
過酷な労働が母親象たちの体を蝕んでいるのである。
チェンマイの象保護施設「エレファント・ネイチャーパーク」では、過去に虐待を受けた象の実情について知ることができる。
あるメス象のジョキアは、木の運搬の仕事をさせられていたが、妊娠した時も仕事をさせられたせいか流産してしまった。
その後、ジョキアは主人を恨んだのか体調不良からかは不明だが「ストライキ」を始めたのである。
仕事をしなくなったので、主人はなんとかしようと威嚇射撃をしたり鞭で打ったりした。そして撃った弾がたまたまジョキアの左目に当たり、失明してしまったのである。
主人は慌てて治療しようとしたが、ジョキアは恐怖のため鼻で主人を振り払い、主人の腕の骨を折ってしまった。
激高した主人は弓でジョキアのもう一方の目を打ち、結果、ジョキアは両目を失明することになってしまった。
エレファント・ネイチャーパークでは、ジョキアのための寄付を募っている。
象虐待の実情
タイやインドでは、象に乗ることが観光の一つの醍醐味となっている。
毎年1億を超える観光客が、タイに訪れ象に乗っている。観光客を乗せて歩く時間は最も長い象で、なんと5000時間にも及ぶという。その間休みを与えることもない。
疲労で歩かなくなった象を鋭い道具で鞭打ち、無理やり歩かせるのである。
象は反抗できず、仕方なくトボトボと歩き続ける。
東南アジアでは象を従わせるのに残酷な手段が使われるという。従順でない象には鎌のような道具で象を刺したり、鞭で打ったり、高圧電力の棒を使うこともあるそうだ。
そうして人間と象の主従関係を体で覚えさせるという。
象は本来、群れで生活する。母親象と一緒に群れに守られながら大きくなる。オスの象は10歳から17歳の時に群れを離れて独立する。
象使いたちは群れの中から子供を連れ去り、鎖で繋いでしまう。そしてとても狭くて暗いカゴの中に閉じ込め、反抗を諦めるまで外へ出さない。
諦めてしまったその時から、人間の残酷な支配が始まるのだ。
[kemenadyoko]
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