最も小さい犬として世界的に大人気の チワワ。
人懐っこくて賢く、うるうるした瞳は飼い主のハートをわしづかみにします。
そんなチワワは南米出身の犬ということは結構知られていますが、チワワの祖先は具体的にどういう犬だったのでしょうか?
チワワの祖先は「テチチ」
チワワの祖先はいくつか説があるようですが、最も有力とされているのが南米大陸を原産とする「テチチ」です。
DNA解析により、チワワがメキシコ起源の犬と同じDNAサンプルを持っていたことと、メキシコにチワワ州という州があり、チワワの命名はそこから来ていることから「テチチ」がチワワの祖先というのが通説となっています。
それでは「テチチ」はどんな犬だったのでしょうか?
テチチは食用犬だった
テチチは西暦800年代(9世紀)に、南米の先住民・トルテック族によって飼われていたことが確認されています。
マヤ族が出現する5世紀以前には既にこの土地にいた、という文献もあるそうです。
テチチは毛色によっては「神聖な生き物」とみなされていたようで、「飼い主の罪を変わりに引き受けてくれる」とされ、儀式の生贄として一緒に埋葬されていました。
メキシコや南米では、人の墓からテチチの骨が出土しています。
トルテック族の次に栄えたアステカ文明になると、テチチは主に食用として飼育されるようになります。
穀物などで太らせて大切に飼育していました。
しかし15世紀になり、スペイン人たちが南米大陸に入植してくると事態が変わります。
なんとスペインの探検家や調査団たちは、テチチを食べ尽くしてしまったのです。その数は少なくとも10万匹以上と言われています。
栄養価が高く味も美味しかったようで、テチチを初めて見たフランシスコ・エルナンデスは「いわゆるごちそうではなく、一般的な食材として食べている」と報告しています。
先住民たちは長い間テチチを大切に育てていましたが、スペイン人たちはあっという間に絶滅させてしまったのです。
その後、テチチの目撃証言は途絶えていき、19世紀中には絶滅したと考えられています。
絶滅寸前の19世紀中頃に、メキシコのチワワ州でアメリカ人によって発見され、品種改良されたものがチワワの源流となりました。
現在、本場メキシコにはチワワはほとんどいませんが、アメリカで品種改良された「チワワ」は世界中で愛されています。
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