自然災害に備える!本当は危険な地名
地震大国として認識されている国、日本。
外国人が驚くような揺れでも、日本人にとっては特に何ともないほど慣れてしまっている。
他にも豪雨による川の氾濫や土砂崩れ、土地の液状化など日本人は様々な自然災害のリスクと隣り合わせであり、またそれを乗り越えてきてもいる。
今回は、そんな自然災害の影響を受けやすい地域につけられた「危険な地名」についてご紹介していきたい。
日本全国にある「危険な土地」と気をつけたいケース
自然災害の影響を受けやすい危険な地域は、どこにあるのだろうか?
東日本大震災では東北の東側一帯が津波被害を被った。
西日本豪雨では広島県、岡山県、愛媛県が大きな被害者を出した。
結果をざっと見ると、地震で揺れた地域の沿岸に津波が押し寄せ、豪雨が集中した地域に被害が出たという、普通の印象で終わってしまう。
そうなると極端な話、「沿岸に住むのは危険である」「いつ豪雨が来るか分からないから諦めるしかない」といった大雑把な恐れ方になりかねない。
確かに大規模な自然災害に関しては予測しきれない部分が大きい。
しかし、「危険な土地」を知ることによって被災のリスク管理は多少なりとも可能になってくるのだ。
リスク管理に関しては、誰でも必要性はある。
自然災害で被害者となりたくないのは誰でも同じだ。
その中でも「地名」に関しては、特に気をつけたいケースとそうでもないケースが考えられる。
例えば該当地域に用があって訪問・短期滞在する場合や、一時的に借りて住む分には、これらの地名が物語る地理的特徴はさほど強い意味を持たないかもしれない。
何故かといえば、被害が出るような自然災害は毎日起こるものではないため、心配しても杞憂に終わる可能性が高いからだ。
一方、これから家を買おう、腰を落ち着けようと考えている人はやはり、地名の意味をしっかり踏まえた上で次の住所を検討することが望ましい。
一度住居を構えれば、危ない地域だと分かっても引っ越しは気軽にはできない。
家を地理的条件から選ぶとき、交通機関へのアクセスや商業施設の充実度合い、治安などと価格のバランスで選ぶ人が大半だろう。
それらの検討項目に「危ない地名があるかどうか」はあまり意識されないことが多い。
そういう層にこそ、この記事をご参考いただきたいという思いがある。
危ない漢字がリスクを知らせる
さて、では危ない地名とは具体的にどういったものだろうか。
その分かりやすいものは「漢字」だ。
特定の漢字が含まれる土地は「災害のあった地域だよ」と先人が教えてくれているのだ。
これらの漢字は、例えば災害を直接示すようなものではなく、一見風流で魅力的な印象を与えることもあるので意識して覚えておこう。
<生き物系>
・龍・竜
竜が起こしたような津波があった。龍は水を司るといわれる。
(例:福井県 九頭竜川)
・鮎
「あゆく(揺れる)」に由来。地盤が弱い傾向あり。
地震の前に沢山の鮎が取れるという説にも関連している。
・蛇(じゃ)
悪い意味で水と縁が深い地域につけられる。土地が崩れやすい傾向が強いので要注意。
・鶴(つる)
川が鶴の首のようにうねっており氾濫が多かった。
「津留」
・亀(かめ)
亀が獲物を食いちぎるように、水に侵食されやすい地域・水害
・猿(さる)
「去る」などに由来。崖や、崩れやすい土地につけられる。
・駒(こま)
輪状に川に囲まれ、地盤が弱く洪水の被害を受けやすい
東京「駒込・駒場」
他には「蟹」「鷺」なども不吉な由来をもつ。
<自然系>
・椿(つばき)
刈り取られるように土地が崩れやすい。
・梅(うめ)
「埋め」に由来。埋立地であったり、過去の土砂崩れで砂が重なっていることを示す。
・芝(しば)
低地を意味する=川の氾濫・浸水に注意
東京「柴又」
・荻(おぎ)
崖が多かったり、過去の災害を受けた土地につく。
・柿(かき)
「掻き・欠き」を語源とする通り、崩れやすい土地、水害の多い土地につく。
他には「灘」「野毛」「草」「桜」「滝」などもある。
<その他>
・女(おな)
文字とは正反対に「男波」(荒波)に由来する。
過去に津波の被害をこうむった土地であることが多い。
(例:宮城県女川・福島県小名浜)
・倉(くら)
影崩れ・雪崩が多い(長野・新潟など山がちな地域に多い)
他には「釜」「放」「衾」「袋」なども要注意だ。
綺麗な名前ほど注意?
危険な地名には先人の警告が隠されているが、元々の語源が分からないような漢字が当てられている場合もある。
物件探しなどで「何となく響きが良い、字面が綺麗」
そんな軽い気持ちで選んだ地域が、実は危険ということがありうる。
折角自分で選べても、地名に騙されては本末転倒だ。
綺麗な名前ほど注意して、その由来を確認しておきたい。
また、新興住宅地が開発されると、危ない地域名を隠そうとして新しい地名がつく。
新しい地名を一つ作ると、それに伴って複数個の旧地名が消えるようになっている。つまり先人が遺してくれた貴重な情報がもみ消されてしまう。
新興住宅地に使われるワードは「●が丘」「●●台」といったものが多い。
「希望」「光」といったキラキラネームじみた「イメージ地名」もまた、要注意だ。
例:東京 自由が丘(水害で人が溺れたという言い伝えあり)光が丘
危険な土地でも平気?安全な地域も危険?
最後に覚えておきたいことがある。
それは「その土地自体が必ず危険という意味ではない」点だ。
過去に災害のあった土地でも、工事や開発で安全になっている可能性もある。
勿論、地名通り注意すべきエリアもある。
例えば埋立地系の土地は根本的に地盤がゆるいため、その土地の上に工事をしたからといって安全性が高まるとは考えにくい。
これらは少し常識的に考えてみると分かってくることが多い。
つまり、危険な地名だからといって盲目的・反射的に嫌悪したり恐れたりする必要はない。
むしろ逆に、これらの地名に該当しない地域だからといって油断していることのほうが危険だ。
既に該当地域に家を持ってしまっている人も絶望することはない。元々ハイリスクな土地であることを知ったなら、具体的にどの地域がどういった災害に弱いのか調べ、日頃の備えに役立てることができる。
役所に問い合わせたり、図書館の資料等をひもとくと貴重な情報が得られる。
現代ではハザードマップが作成されているので、それと照らし合わせてみるのも便利だろう。
日本が災害大国であることは体験的にご存じの方も多いだろう。
大地震に巨大台風、豪雨。
これらの被害は、いつどこを襲ってくるかはっきりと断言できないものだ。情報と知恵を掛け合わせ、少しでもローリスクな居住地選びをしていきたい。
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