調べてみた

家畜の歴史 「犬、猫、馬、牛、豚~他」いつから飼われるようになったのか?

私たちの生活においてペットの犬や猫、食品の源である牛や豚。
高級な衣服の生地となる絹を作り出すカイコ。

多くの生物が家畜として紀元前より人間に飼い慣らされてきた。

これらの動物はなぜ家畜となり、そしてなぜ家畜化できたのか?
今回は人間と共に歴史を歩んできた家畜の歴史について解説する。

家畜の歴史

家畜として飼われているエジプトの牛 wikiより引用

家畜とは

家畜とは、人間の生活に役立つように飼いならされ、繁殖させられ品種改良された生物である。
哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類のほか、無脊椎動物にも家畜化された生物がいる。

家畜は野生の動物とは違う特徴がある。

・気性がおとなしくなり、ヒトに服従しやすくなる。
・脳が縮小する。
・ヒトにとって有用な部位が肥大化する。
・繁殖時期が幅広くなる。
・斑紋など外形の多様性が大きくなる。
・病気等に弱くなる。
・生活環を全うするのにヒトの手助けが必要になる。

絹を作り出すカイコに関しては、人間の存在なくしては生きることが出来ないと言われている。

家畜の歴史

世界で最初に家畜になったのはであったとされている。

時期や地域は特定されてないが、犬は「タイリクオオカミ」が人間に飼いならされたことで家畜になったといわれている。

一説には現生人類「ホモサピエンス」登場以前の「ネアンデルタール人」によって、紀元前90000年ごろには家畜になっていたとされる説もある。

犬は番犬となったり、狩りをする際には一緒に獲物を追い詰めたりと狩猟採取民族にとっては生活に欠かせない動物であった。
更に家畜として飼うための条件を全て備えていたことも大きい。(比較的おとなしく、賢く従順であり、人間の食べないものも食べ、繁殖力も比較的高く、そして成長も早い

このことが「犬は人類の最高の友」と言われる所以である。

家畜の歴史

人類最古の家畜とされている犬今でも多くの犬はペットとして飼われている

ヤギ・ヒツジ・ブタは、紀元前8000年頃の西南アジアで、それぞれパサン・ムフロン・イノシシから家畜化されたといわれている。

ヒツジやヤギ、ブタは人口の増加と共に一定の地域に定住するようになり、食糧問題を解決する目的で家畜化されたと考えられる。

ヤギの乳(山羊乳)やヒツジの毛(羊毛)などの二次生産物の利用は、家畜化からかなりの時間が経ってから行われるようになったとされている。

ブタは家畜にすることが容易な動物であり、免疫力が強く、抵抗性だけでなく環境への適応性にも富んでいる。

家畜の歴史

家畜の代表格である豚は非常に生命力があるので過酷な状況にも耐えてきた

ウシは、少なくとも1万年前には西アジアとインドで、野生のオーロックスから別個に家畜化されたと言われている。

ウシは「ミルクを作る、食用になる、荷物の運搬に適している」など家畜として大変有用であった。

家畜の歴史

牛は食料源と農耕の際の運搬用、そしてフンは肥料になる

ウマは、紀元前4000年頃のウクライナで、ロバは同時期のエジプトで、スイギュウも同時期の中国で家畜化されている。

どれも社会性の強い動物で、野生も家畜も群れをなす傾向がある。
運搬用、農耕、乗用、軍用、競技用、などに使われるほか、食用にもされる。

特に馬は移動手段として最も世界に広まった家畜である。

馬はアメリカ大陸にも原種は存在していたが、人間が飼いならす前に絶滅していたとされている。インカ文明やアステカ文明の人たちが馬を知らなかったのはこういった理由からである。

リャマアルパカは、紀元前3500年頃のアンデスでグアナコビクーニャから家畜化された。荷物の運搬用に用いられたり、毛や皮を衣類に用いたりしている。

ヒトコブラクダは、紀元前2500年頃のアラビア半島で、フタコブラクダも同時期の中央アジアで家畜化されている。
ラクダは砂漠などの水の少ない環境下であっても長期間活動できることから、アラビア半島などの過酷な地域では家畜として古くから利用されている。

ネコは、紀元前4000年前にはエジプトで重宝されていたという記録が残っている。

猫は狩猟には向いていなかったので犬より家畜としての歴史は短く、人間が農耕を始めた後に害獣のネズミに対抗するために飼われたとされている。

家畜の歴史

ネコはエジプトにおいては家畜だけでなく、神様の使いともされた

養蚕は、少なくとも5000年の歴史を持つ。

カイコの祖先は東アジアに生息するクワコであり、中国大陸で家畜化されたカイコは家蚕(かさん)とも呼ばれる家畜化された昆虫で、野生は生息していない。

また野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化生物として知られ、餌が無くなっても自ら探したり逃げ出したりすることがなく、人間の管理なしでは生きることができない。

家畜になる動物の条件

・飼料の量

多くの種類の食料を進んで食べ、その中でも特に人が食べられない飼料「秣(まぐさ)や牧草など」を主食とする動物。

・速い成長速度

人より速く成長して繁殖可能になる動物は、有用な性質を具える家畜へと比較的短期間で変容させることができる。

・飼育下での繁殖能力

飼育下で繁殖したがらない動物は人の手で有益な子孫を得ることができない。パンダやアンテロープなど。

・穏やかな気性

大きくて気性の荒い動物を飼育するのは危険である。例えば、バッファローは気まぐれで危険な動物である。
驚いたときにすぐに逃げ出すような性格の動物も飼育しておくのが難しい。
パニックに陥りやすいという点では家畜化された羊も同じ条件ではあるが、群れをつくる習性が強いため、人や犬によって群れ全体の制御が可能である。

・序列性のある集団を形成する

群れを形成する動物の中には個体間で序列を作り、自身よりも序列上位の個体の行動に倣う習性を持つ種と持たない種がいる。ウシやウマ、ヒツジなどは前者の典型であり、集団のヒエラルキーの頂点に人を据えることで容易にコントロールが可能になる。

家畜が与えた社会への影響

家畜の存在は人間の生活に大きな変化を与えた。

人間が定住するには家畜の存在が必要不可欠である。それまでの狩猟採集民族は獲物を求めて移動しながら食料を確保しなければならなかったので、食料を安定して手に入れることが出来ない問題があった。

しかし農業文化を身に付けた民族は一定の居住地で作物を育て、家畜を飼いならすことによって安定した食料を手に入れることが可能となった。
農耕民族になることによって、人口の増加と文明の発展が加速したのである。

家畜の歴史

騎士と軍馬

しかしその農耕によって発展した人類に新たな問題が出てきた。それは土地の奪い合いによる『戦争』である。

大きくなった社会は、増えた人口の維持のため戦争という野蛮な行為によって別の土地や食料を手に入れて更なる発展を望んだのである。

戦争でも家畜は活躍することになる。

馬は戦争において古代から近世にかけては強力な兵器となり、ロバやラクダ、牛は物資輸送用に用いられ、鳩は通信で用いられた。

家畜は古代から現代まで、どの文明においても人類とは切り離せない存在なのである。

 

 

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草の実堂編集部 新井弘樹

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