宗教

伊勢神宮と出雲大社 どちらが格上なのか調べてみた

無宗教だから」といいつつ、神社を訪れる日本人は多い。

観光はもちろんだが、初詣、帯祝い(戌の日参り)、七五三、それに色々な祈願。普段、神社とは距離がある人でも何かしらの形で接点はあるものだ。

そして、日本人なら多くが「特別な神社」として認識している二つの神社がある。

伊勢神宮」と「出雲大社」。

では、単刀直入に聞こう。この神社、どちかのほうが格上なのだろうか?

分からない方は、私と一緒に「神社の格」を紐解いてみよう。
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社各制度

そもそも、日本には「社格」というものがあった。

言葉通り、神社の格を表したものであるが、その格を決めていたのは国である。

古代、神事と政治が切り離されていなかった時代、朝廷は日本の神社を管理していた。古くは奈良時代の大宝律令により、このような規定が明文化されている。

延喜式神名帳(えんぎしき じんみょうちょう)」という全国の神社の一覧表に記されている神社は朝廷が大切にしているという意味で「式内社(しきないしゃ)」と呼び、それ以外の神社を「式外社(しきげしゃ)」と呼んでいた。そして、式内社は後世において神社の格式が高いことを示す社格として重要な基準となる。

さらに同時代には、一宮(いちのみや)という、各地域においてもっとも社格の高い神社が定められ、神社の「」がより細かく定められた。しかし、太平洋戦争後のGHQによる神道指令により社各制度そのものが廃止されたのである。

伊勢神宮

伊勢神宮と出雲大社

三重県伊勢市にある「伊勢神宮」は、もはや説明の必要がないほど、日本人にとって馴染み深い神社であり、江戸時代には「一生に一度はお伊勢さま」というくらいに伊勢神宮への参拝は江戸庶民の大きな楽しみともなった。

江戸時代、庶民は関所によって自由に国を渡り歩くことができなかったため、「参拝」という名目で旅が出来る「お伊勢参り」は一世一代のイベントであり、現在の価値で約30万円ほどの旅費を費やして、参拝が行われていたほどだ。

その祭神は太陽の神である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」と、食物や穀物の女神である「豊受大御神(とようけのおおみかみ)」の二神であり、前者は内宮(ないくう)、後者は外宮(げくう)という別々の社に祀られている。そして、天照大御神が皇室の氏神であることから、伊勢神宮=皇室(朝廷)のイメージが強く、内閣総理大臣が年始に参拝することもこれに由来している。

さらに細かく見ると、伊勢神宮を構成する宮社は全部で125社もあり、全体的には近隣の自治体にまで広く分布しているのだ。そして、正式名称こそ「神宮」といい、日本でも地名の付かない神宮はこの神社のみであった。

出雲大社

島根県出雲市にある「出雲大社」も大まかな説明は不要だろう。

式内社(しきないしゃ)であり、出雲国の一宮で「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」を祭神としている。天照大御神が高天原(たかあまはら)と呼ばれる天界の神であるのに対し、大国主大神は地上の国土を治めていた天津神(あまつかみ)という神々の代表的な神であった。もともとは、天照大御神の弟であるスサノオのように、高天原から地上に降りてきた神々の子孫が天津神とされている。

つまり、「天界の天照」「地上界の大国主」といってもいいだろう。

そして、神無月には全国から八百万の神々が集うことでも有名である。

また、現在の本殿は1744年に建てられたもので、高さだけでも約24mもあり、神社としては格段に高いのだが、1190年にこの地を訪れた寂蓮法師は「やはらぐる 光や空に満ちぬらん 雲に分け入る千木(ちぎ)の片そぎ」と詠み、その大きさに感銘を受けたことを残した。

幾重にも重なった雲が流れ、光に満ちた空へ向けて、高くそびえたつ大社の大きさに「この世の事とも覚えざりける」と記している。


※古代の本殿の模型

これは、伝承によると平安時代よりも昔には、本殿の高さは約96mもあり、長大な階段で地上と結ばれていたという。さらに、古事記などにも同じような記載があり、近年では約48mほどの高さであれば建設が可能であったという専門家の考証も行われた。

ちなみに「大社」とは、大きな神社を指し、出雲大社の他にも「熊野本宮大社(奈良県)」や「諏訪大社(長野県)」など各地に存在する。

出雲大社こそ神社の頂点!

さあ、いよいよ本題に入ろう。

伊勢神宮出雲大社はどちかが格上なのか。

社各制度の廃止により、正式な格付けはないが、神社としての格、つまり社格では出雲大社が頂点に立つ

日本書紀にも伊勢神宮出雲大神宮(出雲大社)、そして、奈良の石上神宮(いそのかみじんぐう)だけが「神宮」と記載されている。出雲大社は出雲国の一宮であるのに対し、伊勢国の一宮は椿大神社都波岐神社である。

では、伊勢神宮の格は出雲大社よりも下であったのかというと、実はそうではない。

伊勢神宮こそ「別格」の扱いであり、社各制度の枠よりも高い位置にあるのだ。言ってしまえば、出雲大社は伊勢神宮とは同じ土俵にも立っていないのである。

他の神社と比べる必要がないほど特別な神社であり、同じ「神宮」と名の付く「鹿島神宮(茨城県)」、「香取神宮(千葉県)」、「明治神宮(東京都)」なども社各制度の枠の中では神社にすぎない。伊勢にある「神宮」と区別するために地名が付けられたようなものだ。

つまり、伊勢神宮は比較対象に含まれない特別な神社であった。

最後に

現在では、神社の格付けはされていない。そのような時代においても伊勢神宮だけが特別な神社であることだけは間違いない。

もっとも、これらの格付けは各時代の朝廷や政府が行ったことで、我々にとってはどの神社も「聖域」であり、最も重要なのは、神様に対する「感謝の心」や「祈りの気持ち」だということを忘れないようにしたい。

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