調べてみた

透視能力を持つ超能力者・御船千鶴子 「リング〜貞子の母のモデル」

貞子の母のモデル 御船千鶴子

透視能力を持つ超能力者・御船千鶴子

画像 : 御船千鶴子(1910年) wik c

御船千鶴子(みふねちづこ)は、透視能力「千里眼」を有する超能力者という触れ込みで明治時代の世に現れ、東大助教授であった福来友吉(ふくらいともきち)博士の実験に協力した人物です。

日本中で大ブームを巻き起こしたホラー映画「リング」の山村貞子の母親・山村志津子のモデルとなったとも言われています。

福来博士の実験によってマスコミに取り上げられたた千鶴子でしたが、24歳にして自ら服毒自殺を遂げました。

果たして彼女の「千里眼」騒動とは何だったのでしょうか?

万田炭鉱を発見

透視能力を持つ超能力者・御船千鶴子

※万田坑 キロクマ!より

千鶴子は明治19年(1886年)に熊本に生まれました。

17歳の頃に義兄にかけられた催眠術をきっかけとして、超能力を発現させたと伝えられています。

千鶴子は炭鉱を経営する会社からの要望を受けて福岡県の大牟田市で透視を行うと、万田炭鉱の存在を言い当てて謝礼2万円(現在の価値で約2000万円)を得ました。

こうしたことが噂となって次第に世に知られるようになり、明治43年(1910年)頃に福来博士が研究を始めるに至ったのです。

公開実験でのすり替え疑惑

こうして同年9月14日に、福来博士が主催する「千鶴子の公開実験」が東京で行われました。

この実験は、千鶴子の家族や、当時の物理学の権威だった東大元総長・山川健次郎、各新聞社の記者も招かれた注目の実験となりました。

この実験では、山川が用意した平にした鉛の管の中に文字の書かれた紙を入れ、それを両側から厳重にハンダ付けし、中身の文字を当てるという透視が行われました。

紙の入った鉛の管は20個が準備されました。

しかし鶴子が透視した結果は、山川が準備したものではなく、福来が練習のために千鶴子に渡していたものと一致するという微妙なものだったのです。

この鉛菅がすり替わったという事態に、各新聞の論調は千鶴子の能力について疑問を呈するものとなりました。

再度の実験実施

公開実験から2ヶ月経った明治43年の11月17日・18日両日、千鶴子の地元である熊本において、再び福来博士による実験が行われました。

映画「リング」を始めとするイメージから、マスコミでバッシングを受けた千鶴子はすぐに自殺したかのような印象がありますが、その後も福来博士による研究は続けられています。

この時は煙草の箱に2つのサイコロを入れて封をし、その目を当てるというものでした。

一応5回中、3回を的中させたとされていますが確率からの類推も可能なもので、その真意の程は不明という他ありませんでした。

自殺の原因

透視能力を持つ超能力者・御船千鶴子

千鶴子は明治44年(1911年)1月18日に自ら毒を飲んで自殺を図り、翌19日の朝に24歳で死亡しました。

毒薬自体も千鶴子自身が購入したもので、一時は一命を取り留めたかに見えましたが手当の甲斐なく亡くなりました。

千鶴子は自殺の理由を明らかにせずに亡くなったため、マスコミを中心に様々な風説が飛び交いました。
その中で当時も最も可能性が高いとされた説は、自身の能力を巡る親族間でのトラブルというものでした。

千鶴子の父と義兄の間で、「金の生る木」と化した千鶴子を奪い合う争いとなり、その渦中に置かれた事を気に病んだという説です。
千鶴子は当初から義兄の治療院で透視を行い、その噂が高まったことで義兄の商売は盛況を極めていたました。

それを横目にした千鶴子の父が自らも利益を得ようと画策し、義兄との軋轢が生じたと言われています。

福来博士はその後も超能力者とされる人物を相手に実験を続けましたが、1914年、東京帝国大学を追放されました。

能力が本物であったかどうかは闇の中ですが、少なくとも深く関わった人たちは幸せとは言えない結果となったのです。

  • Xをフォロー
好きなカテゴリーの記事の新着をメールでお届けします。下のボタンからフォローください。

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 岡目八目・ダメ!八百長…みんなも使ってる?囲碁にまつわる慣用句は…
  2. 北海道と言えば?アイヌ語に由来する地名を調べてみた
  3. ヒムラーの謎の城について調べてみた【ナチス親衛隊】
  4. 漢字の面白い成り立ち 「象形文字、指事文字、会意文字、形声文字」…
  5. 悪魔達と聖人の壮絶な戦い 「各国の代表的な悪魔達」
  6. 今川義元は本当に暗君だったのか調べてみた
  7. 【日本の低賃金問題】 なぜ失われた20年になったのか? 「合理性…
  8. 吉野家・松屋・すき家 「三大チェーンの牛丼を食べ比べてみた」

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

【ルイ17世】マリーアントワネットの子供たちの残酷な人生

ルイ・シャルルとマリーテレーズ18世紀。フランス革命で断頭台の露に消えた王ルイ16世と王妃マリー…

秀吉が担ぎ上げた「三法師」こと、織田秀信はどうなったのか?

本能寺の変の後、織田家の後継者および領地再分配を決めるために開かれた清洲会議は、歴史の転換点…

食べて開運!福を呼び込む縁起物とは 「フォーチュンクッキーの起源は日本だった?」

お守りや達磨、七福神に招き猫。開運や家内安全、商売繁盛など、さまざまな福を招きよせてくれる縁起物は、…

「結婚してたの!?」周囲から驚かれた文豪・中島敦の表と裏の顔

中島敦(なかじま あつし)といえば、「山月記」や「李陵」といった中国古典を題材にした作品が有名です。…

恐竜の王「ティラノサウルス」の名前が消える!? T-REXの危機

誰もが知る恐竜の王者最も有名な恐竜は何かと議論する際、真っ先に挙がり、そして外せないのがティ…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP