海外

多くの中国人が種を食べすぎて歯が凹む 「瓜子歯」とは

「瓜子歯 」とは

画像 : スーパーで売られている瓜子(クアズ)

向日葵の種、カボチャの種、スイカの種。そう聞くと私たちは鳥や小動物にあげる餌をイメージするだろう。

私たち日本人も胡桃やピーナッツ、アーモンドなどナッツ系は大好きだが、種系はそれほど多くは食べない。パウンドケーキなどにちょこっとカボチャの種をのせるイメージだ。

中国人は種をガンガン食べる。しかもものすごい速さである。

食べるのは主に向日葵の種、カボチャの種、スイカの種であり、総じて「瓜子 : クアズ」と呼ばれている。

参考記事 : 中国人はなぜ種を食べるのが好きなのか? 【明の皇帝はスイカの種が大好物だった】
https://kusanomido.com/study/history/chinese/65699/

しかもプロフェッショナル級な人は手で殻を剥かず、口の中で完結してしまうのである。口の中でモゴモゴと噛んで、殻はペッと吐き出す。大変見事な技である。

筆者が中国に住んでいた頃、知り合った多くの人が「瓜子歯」だった。

イメージ画像 : 瓜子歯

「瓜子歯」とは、驚くことに瓜子の食べ過ぎで門歯がVの形に凹んでしまう現象のことである。一体どれだけの期間をかけて、どのくらいの量を食べたらこうなってしまうのか全く想像がつかない。

何人かの中国人の知り合いの門歯がかけていることに気がついた筆者は、それが瓜子の食べ過ぎだと聞き愕然としてしまった。

瓜子は、歯がかけてしまうほど多くの中国人に食べられているのである。

春節には瓜子の食べ過ぎに気をつけて

中国では、旧正月の春節頃になると「瓜子の食べ過ぎに気をつけて」といったテーマが、度々メディアで取り上げられる。

春節には多くの中国人が自分の実家へと帰省する。実家へ戻ると家族団欒で集まっておしゃべりしたり、お茶を飲んだりする。その時のお供のメインは瓜子なのだ。

中国の歯科医師は、瓜子について2点注意を促している。

1. 長時間瓜子を噛んでいると、歯のエナメル質が傷ついてしまう。それによって歯が一部破損してしまったり、かけたりすることがあるので注意するように。そうなると歯の神経にまで影響を及ぼすので、軽くみてはいけない。春節の時は1ヶ月ほど休みになるため、歯が痛くなっても歯医者に行くことはできませんよ。

2. 瓜子は高カロリーで、瓜子100gあたりで大体564カロリーである。 一日30粒ほど食べるくらいでちょうど良い。

しかし筆者がはたから見ていた感想としては、たった30粒なんてありえない。彼らはおしゃべりが始まれば永遠に食べ続けているイメージである。

しかも最近では色々な味付けの瓜子が登場している。例えば、バター味、チーズ味、紅茶風味、コーヒー味、醤油味、卵黄味、キャラメル味、ナツメグ味など、キリがないほどだ。

塩分や糖分なども気になるところである。

瓜子はビタミンEなど栄養も豊富で皮膚に良いとされてはいるが、何事も度を越してはいけない。

瓜子事件

個人的な話だが、筆者はいまハムスターを買っている。

餌を買うためにペットショップへ行くのだが、そこでもやはり向日葵の種が「ハムスター用」として売られている。

画像 : ハムスターの餌 筆者撮影

筆者が中国にいた頃、こんなエピソードがメディアで取り上げられていた。

1人の若者が家に帰宅した時、母の友人が幾人か家にいておしゃべりしていたという。

そして母の友人たちが帰った後、若者がハムスターに餌をやろうとするとなんと、なんと買ってきたばかりの餌の3分の2が無くなってしまっていたのである。

若者は母に聞いてみた。

若者「ハムスターの餌がほとんど無くなっているけど、どうしたの?」

母「……食べても別にいいじゃない!」

若者「食べた食べないの問題じゃない!これはハムスターの餌なの!」

母「。。。。。」

これほどまでに、種は中国の生活の一部であり愛されているのである。ただし食べ過ぎには注意である。

 

草の実堂編集部

投稿者の記事一覧

草の実学習塾、滝田吉一先生の弟子。
編集、校正、ライティングでは古代中国史専門。『史記』『戦国策』『正史三国志』『漢書』『資治通鑑』など古代中国の史料をもとに史実に沿った記事を執筆。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 「マッカーサーはマザコンだった?」毒親・メアリーとの異様すぎる母…
  2. オディロン・ルドン 【幻想を描いた孤高の画家】~花恐怖症とは
  3. コナン・ドイル ~晩年は心霊主義に傾倒した名探偵の生みの親
  4. 【イスラエルがイランを攻撃】イスラエルの強硬路線と国際社会への不…
  5. 台湾の新型コロナウイルスの対応と現在
  6. ポル・ポト失脚後も続いたカンボジアの悲劇 「毛沢東とスターリンの…
  7. 金日成は死後、なぜ冷凍保存されたのか?その背景を探る
  8. 永世中立国の意外な側面・第二次世界大戦とスイス

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

三銃士で有名なダルタニアンは実際どんな人物だったのか?

「一人は皆のために、皆は一人のために」の名言でお馴染みの三銃士。フランス史を知らずとも、この言葉…

マッチングアプリの巧妙な仕組み 「スワイプし続けるように設計されている」

あなたは、マッチングアプリの巧妙な罠に嵌っていないだろうか?スワイプし続けるあなたは…

『古代の奇策』ペルシア軍は猫を盾にして勝利した?ペルシウムの戦いとは

「ペルシウムの戦い」とは、紀元前525年にアケメネス朝ペルシアと、古代エジプトの間で起きた戦いである…

【夫に32年間幽閉される】呪いの手紙を残した悲劇の王妃ゾフィー・ドロテア

17世紀後半、神聖ローマ帝国の一角に、美貌と聡明さで知られる一人の王妃がいました。彼…

コナン・ドイル ~晩年は心霊主義に傾倒した名探偵の生みの親

シャーロック・ホームズの生みの親皆さんは「名探偵」と言えばどなたを思い浮かべられますか。…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP