国際情勢

トランプは「プーチンと石破」どちらと相性がいいのか?外交スタイルを比較

アメリカのドナルド・トランプ大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、そして日本の石破茂首相。

この3人のリーダーが織りなす国際政治の舞台裏には、それぞれの国益を懸けた駆け引きが繰り広げられている。

今回は、トランプにとって、プーチンと石破、どちらが“仲良し”なのか?性格、相性、そして過去の対面会談から、その真相に迫ってみよう。

トランプは自己愛、プーチンは冷酷な策士、石破は真面目すぎる優等生

画像 : プーチン大統領 public domain

まずは主役、トランプ大統領。彼の性格は、まさに“トランプ節”そのものだ。自己愛が強く、注目を浴びることが大好きなショーマン。演説では「私がアメリカを救う!」と自信満々で、予測不能な発言で周囲を驚かせるのがお約束だ。
最近の2025年2月7日の石破との会談でも、「俺とシンゾー(安倍元首相)なら戦争なんて起こらなかった」と自画自賛。一方で、気に入らない相手には容赦なく“ディール”を突きつける現実主義者でもある。
彼にとって人間関係は、どれだけ自分が主役でいられるか、そして相手がどれだけ“使えるか”が鍵だ。

対するプーチンは、冷徹で計算高いKGB出身の策士。遅刻癖が有名で、2014年にはドイツのメルケル元首相を4時間以上待たせたほどの“俺様”ぶりだ。猜疑心が強く、権力誇示が大好き。
一見、トランプとは正反対だが、実はこの二人は妙に気が合う。2018年のヘルシンキでの首脳会談では、トランプが「プーチンは素晴らしいリーダーだ」と持ち上げ、プーチンもニヤリと笑う場面が話題に。
ロシア疑惑で「共謀してるんじゃないか」と囁かれたほどだ。

二人の相性は、まさに“男同士の暗黙の了解”。トランプはプーチンの強権的な態度に憧れを抱き、プーチンはトランプの単純明快な交渉スタイルを“扱いやすい”と感じている節がある。
過去の会談では、握手しながら互いの目をガン見する姿が「まるで恋人同士」とゴシップ誌を賑わせた。
トランプが「俺たちは似てる」と感じるのは、自己主張の強さと“ルールは俺が作る”精神が共鳴するからだろう。

一方、石破首相は自他ともに認める“正論の人”。自民党のハト派で、防衛オタクとして知られる生真面目な性格だ。
2025年2月7日の初の日米首脳会談では、トランプを「歴史に残る一枚(暗殺未遂後の写真)」と褒めちぎり、“MAGA”を「深い思いやり」と持ち上げる場面もあった。
しかし、トランプが「シンゾーは偉大な友人」と安倍元首相を5度も持ち出したのに対し、石破への反応は「彼は強い男」と控えめ。トランプの本音がチラリと見えた瞬間だ。

石破の長々と結論を言わない“石破構文”は、せっかちなトランプには正直ウザいはず。会談後、石破は「相性は合う」とNHKで語ったが、トランプが「ノーを嫌う性格だから否定しないよう気を付けた」と対策を明かしたように、石破はトランプに合わせるのに必死だった感が否めない。

専門家も「トランプは直感型、石破は理論型。正反対すぎて噛み合わない」と分析する。

トランプとの相性はプーチンが優勢 石破は劣勢

画像 : 石破茂首相 CC BY 4.0

過去の対面歴を見ると、プーチンが圧倒的に優勢だ。トランプは大統領1期目の2017年以降、プーチンと複数回会談。
2018年のヘルシンキでは、2時間超の密室会談が「何を話したんだ!」と世界を騒がせた。握手の強さや背中を叩き合う姿は、まるで“兄弟の絆”。

対して石破は、2025年2月の会談が初対面。トランプが「日本は重要」と認める一方、石破個人への言及は薄く、2時間半の会談も「安倍の遺産のおかげ」との見方が強い。石破がトランプに贈った16万円超の「かぶと飾り」も、「プーチンならもっと豪華な何か持ってくる」と陰で囁かれたとか。

性格と相性から見ると、トランプにとってプーチンは“気の合う悪友”、石破は“真面目すぎる後輩”だ。
プーチンとは、互いにマウントを取りつつも「俺たちは特別」と認め合う関係。一方、石破はトランプに気に入られようと頑張るが、その生真面目さが逆に「つまらない」と映る可能性大。トランプが会談で石破を「尊敬されている」と褒めたのも、外交上のリップサービスに過ぎないとの声もある。

トランプがプーチンと夜通しウオッカを飲む姿は想像できるが、石破とビールを酌み交わすのは想像しにくい。プーチンとの“男の友情”が、石破の“優等生外交”を軽く超えるのは間違いなさそうだ。

文 / エックスレバン 校正 / 草の実堂編集部

アバター画像

エックスレバン

投稿者の記事一覧

国際社会の現在や歴史について研究し、現地に赴くなどして政治や経済、文化などを調査する。

✅ 草の実堂の記事がデジタルボイスで聴けるようになりました!(随時更新中)

Youtube で聴く
Spotify で聴く
Amazon music で聴く
Audible で聴く

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

  1. 中世から存在していた「パティシエ」という職業
  2. 【第2次世界大戦後】日本の分割統治計画がなくなった理由とは?
  3. 『世界一寒い村の住人は世界一幸せだった?』最低気温「-71.2°…
  4. 日本人にはあまり馴染みのない「中国の数字にまつわる面白い迷信」
  5. 注音符号とは 【台湾にもひらがなやカタカナがあった? ~中国語の…
  6. 【カンボジアの悲劇】 ポル・ポトという怪物はいかにして生まれたの…
  7. 毛沢東とはどんな人物だったのか?② 「生涯歯を磨かなかった、性格…
  8. 『移民の母』撮影から42年後に判明…写真の女性の正体と苦悩とは

カテゴリー

新着記事

おすすめ記事

源頼朝はなぜ死んだのか?様々な死因説 「家康が記録を消した?」【鎌倉殿の13人】

「冷酷無情の政治家」と呼ばれた源頼朝。先日放送された「鎌倉殿の13人」では、大泉洋が…

戦国大名はどうやってお金を稼いでいたのか? 「年貢、鉱山、交易、脅しや略奪まで」

はじめに大名たちにとって過酷な生存競争が続いた戦国時代。当然ながら生活していくために…

新型車両とその特徴について調べてみた【鉄道】

鉄道車両の重要性鉄道を運行する際には言うまでもなく車両が必要となる。今日の鉄道車両は…

「台湾有事」によって朝鮮有事が発生する?3つのリスクを解説

台湾有事が発生した場合、朝鮮半島における軍事的緊張が高まり、新たな有事が引き起こされるリスクが増大す…

亡くなった台湾のパンダ 「団団(ダンダン)」

パンダ外交中国は、長年パンダを国際外交の道具として使ってきた。1972年、アメリカ合衆国…

アーカイブ

人気記事(日間)

人気記事(週間)

人気記事(月間)

人気記事(全期間)

PAGE TOP