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プライドウィークにダイバーシティを考える
2020年4月25日から5月6日は「プライドウィーク」だ。
https://tokyorainbowpride.com/
例年開催されている「東京レインボープライド」はLGBTの祭典だ。
今年は残念ながら新型コロナウイルスが猛威をふるっているため、緊急事態宣言が発令され、東京都内はsocial distanceを保ちSTAY HOMEする週間にまでなってしまった。
とはいえ、LGBT当事者達の想いは失われない。
4/26にはSNS上で写真を投稿しあうオンラインパレードや豪華ゲストのトークライブが開催され、5/5までは各種オンラインイベントも開かれる。
この週間に、LGBTと縁の深い「ダイバーシティ」という言葉について考えてみたい。
聞きなれない言葉「ダイバーシティ」の意味
メディアや公の場で使われることも増えてきた新語「ダイバーシティ」。小池百合子都知事が推進・奨励している概念として有名なもののひとつだが、その意味が理解され浸透しているとはまだまだ言いづらいのが実際のところだ。
「ダイバーシティ」とは何を意味しているのか、これを考えることによってどのようなメリットがあるのか。
この単語は英語でdiversityとスペリングする。「多様性、種々、雑多、さまざま」という意味を持っている。近年話題になっている「ダイバーシティ」とは、日本社会における人々(人材)の多様性を認め合い、活用していこうという考えを表すキーワードとなっている。
「ダイバーシティ」の視点にもとづいた施策がなされ、色々な人々が活躍できるようになると何が良いのだろうか。
「ダイバーシティ」とLGBT
「ダイバーシティ」を掲げた活動をよく行うのは、LGBT層である。
実際、これまでの、現在の日本ではまだ「人間には男と女しかいないもの」「人は異性を性的対象とするのがノーマル」「男は仕事、女は結婚」というようなイメージが根強い。
このため、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)は、性の自己認識に問題がなく異性を性対象とする「ふつうの」人達に比べ、精神疾患に罹患するリスクが有意に高いことが報告されている。
実際には全く健全な人間性を持ち、能力や才能も十分持っている人材であっても、LGBT当事者という属性を持っているだけで社会的に不自由になりやすい。
LGBTの人口における割合は、左利きの人とほぼ同じという報告がある。これは無視できない割合だ。
ダイバーシティ施策を行うことは、こういった人々のメンタルヘルスを「ふつうの人」と同様の水準まで引き上げる助けとなる。
そして何よりも、埋もれた人材を活用できる有効な手段として日本社会に残されているものでもある。
「ダイバーシティ」はLGBTのためのもの?
ダイバーシティを前面に押し出したメッセージの発信や環境整備がなされると、LGBT当事者以外にもメリットがある。
古色蒼然としたジェンダー観を刷新し、令和の時代にふさわしい人間観を促進できるため、先進的で人権意識の高い企業・団体であることの表明にもなる。
勿論、「結婚してないの?年取ったら子供産めなくなるよ」「男同士の付き合いでキャバクラ行くぞ!」といったセクハラ的なコミュニケーションに疲弊している非LGBTの人々にとっても、安心して業務や日常生活を営める環境が整うようになる。
とはいえ、ダイバーシティはLGBT界隈、ジェンダー問題だけのためにあるわけではない。人種や心身の障害等についてもダイバーシティは適用される概念であり、性的少数者こそが多様性のシンボル、というような優劣のイメージを付与することは好ましくない。
また、セクシュアリティだけを見ても、実際には「LGBT」の枠からこぼれ落ちている層も少なからず存在する。例えば自己のセクシュアリティを固定的に捉えていない人々は少なからず存在するが、LGBTという概念が全てだと思われてしまうと彼ら・彼女らは更に居場所がなくなっていく。
社会的に偏見の的になってきた性的少数者たちが連携して「LGBT」コミュニティを作ってきたのも事実だが、「LGBT」という言葉で切り分けられ、マイノリティの中のマイノリティにされてしまった人々も、皮肉ながらいるのだ。
そういった現実を踏まえると、むしろLGBT当事者こそ、ダイバーシティ(多様性)を深く理解する必要性があるのではないか、という考えにも辿り着く。
一人一人異なることを認識し、よりよく生きるための「ダイバーシティ」
ダイバーシティ、多様性をよく考えれば、人は一人一人異なっているという事実に行きつく。これは、単一民族国家とされ、農耕民族的な価値観を共有しがちな典型的日本人にとっては、改めて意識していかないと認識が不十分な点ともいえる。
難しいことは分からない、特定の層に属する人のことは何となく苦手だ、ということもあるだろう。
そんな時は難しく考えすぎず「人はみな違うし、それでいい」とゆるく受け止めてみよう。
人には主義主張や好き嫌い、得意不得意がどうしてもある。それはそれとして、色々な人が共存しているのが社会であることも事実だ。
「みんなちがつて、みんないい。」これは大正時代末期の女流詩人、金子 みすゞのあまりにも有名な詩の一節だ。
「日本人は皆こうあるべき」「普通はこうするのが常識」
こういった考えに、知らず知らず縛り付けられて苦しいあなたも、そうでないあなたも、ダイバーシティ(多様性)、してみませんか?
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