97歳のご婦人
先日、友人の紹介で台湾の97歳のご婦人を訪ねた。
彼女は日本語と台湾語と中国語が少しできる。小さな細い体だがしっかり歩き、97歳には見えなかった。
小さな家に自分一人で住んでおり、驚くことに自炊している。はっきりと話し同じ言葉を繰り返すなど高齢者独特の特徴もない。日本語も流暢ではないが日常会話は十分話せるレベルである。
筆者が住んでいた台湾でも、日本と同じように少子化と高齢化が進んでおり、福祉の整備が急がれている。
台湾人の平均寿命は81.3歳、男性78.1歳、女性84.7歳となっている(2021年調べ)
台湾の平均寿命が伸びた理由は、医療の発展、介護体制の整備、生活水準の向上、健康に対する国民の意識が上がったことなどがあげられるという。
台湾では、日本のようにデイサービスやショートステイなども始まっている。
日本ではちょっと考えられないことだが、台湾では外国人労働者の住み込み介護者が多くいるのである。
家に直接住み込んで高齢者の介護をするというシステムで、ほとんどが3年契約となっている。
台湾には、介護従事者以外にも多くの外国人労働者がいる。
2021年9月末調べで、69万人もの外国人が台湾で働いており、その内訳はインドネシア(35.56%)、ベトナム(35.02%)、フィリピン(21.06%)、タイ(8.37%)である。
街へ出ると至る所で外国人を見かけるし、週末の駅は休日に出かける外国人で溢れかえっている。
老人介護以外では、工場や工事現場、漁業などの分野でも多くの外国人労働者が働いている。
以前は外国人労働者という意味で「外労」という言葉を使っていたが、それが人権侵害にあたるとして「新住民」という言葉を使うなどの動きもある。
少子化
少子化に関しては、なんと台湾は世界で最も出生率が低い国とされている。
最近の統計を見てみると、2021年に生まれた新生児は15万3820人。同年に亡くなった人は18万3732人であったことから、人口はマイナスの一途を辿っている。
理由に関しては日本とさほど変わらず、未婚者が増えていること、結婚しても子供を持たない夫婦が増えたこと、などが挙げられるという。
ちなみに出生率の低さをランキングで言えば、2位は韓国(1.10%)、3位はシンガポール(1.16%)、4位はイタリア(1.22%)、5位は香港とマカオ(1.22%)である。
台湾人と糖尿病
台湾人の死因の第5位は糖尿病となっている。全国で約200万人もの糖尿病患者がおり、毎年約25000人のスピードで患者が増えている。
主な原因は「甘いドリンク」だという。
台湾といえば「タピオカミルクティー」を思い浮かべる人も多いかと思う。タピオカミルクティー700mlにはなんと62グラムの砂糖が入っている。これは角砂糖12個分に相当する。
タピオカミルクティー1杯で1日の砂糖適量摂取量を軽く超えてしまうのである。
そして台湾には驚くほど多くの飲料店があり、次々と新しい飲料店が開店しても中々潰れないのである。
隣合わせに2件の飲料店ができても経営できることから、台湾人がどれだけ飲料を好んでいるかがわかる。
台湾人は毎年60万トンの砂糖を消費し、10億杯の飲料を飲むという。
タピオカミルクティーが甘いというのは想像できるが、なんと台湾人はウーロン茶や緑茶にまで砂糖を入れる。飲料店にいくと甘さと氷の量を聞かれるのである。
筆者が以前台湾に住んでいた頃、「ウーロン茶を無糖で」と注文すると「無糖だと味がないがいいか?」と聞かれるほどだった。
現在では、ドリンクのパッケージに「あなたの健康のために、無糖か微糖をおすすめします」と印刷してある。まるでタバコのパッケージのようだ。甘い飲料はタバコと同じように健康を害するという認識になっている。
台湾に限らず、少子化や高齢化はもはや世界の社会問題となっている。多くの国にとって今後の大きな課題の一つである。
タイトル 出資率となっていますが、出生率の誤植ではありませんか?
ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきました!